パスが繋がり過ぎてゴールを狙うことを忘れているかのよう…。

左からイエロ、フィーゴ、マケレレ。当時のマドリーは、スターとそれを支える職人がうまく融合していた。しかし後年、スターばかりに固執してチームバランスを崩し、タイトルから遠ざかるようになる。 (C) Getty Images
それでもオリンピアは、黙ってマドリーの攻勢を見過ごしていたわけではない。失点直後にはロペスの強烈なボレーがポストを叩いてカシージャスをヒヤリとさせると、その後もR・カルロスの上がった相手左サイドのスペースを効果的に使いながら、同点のチャンスを探っていった。
しかし、マドリーの勢いにも拍車がかかる。中央で細かく繋ぎ、サイドのR・カルロスへ。そこから一気に逆サイドのフィーゴに繋がり、そこを起点にまた攻撃が始まる……。
面白いようにパスが繋がるために、マドリーの選手たちは、時にゴールを狙うことを忘れてしまっているかのように思われた。1点リードしているという余裕もあったのだろう。彼らは、パスゲームの愉悦に自らが浸っているようだった。
見ている方には痛快ながら、対峙したオリンピアにとっては堪らない。そこで気を吐いたのが、10番を背負ったM・ベニテスだった。この小柄ながらもスピードに長けたドリブラーは、後半に入り、鋭い切れ味を見せ始める。
まず55分、こぼれ球に反応してシュートを放つと、63分には鋭い突破から強烈なミドルでマドリーゴールを襲う。カシージャスの好セーブに阻まれて得点には至らなかったものの、オリンピアにわずかな希望をもたらした。
プンピード監督も動きを見せる。65分、コルドバに代えて長身FWバエスを投入。攻撃的布陣に変えてマドリーゴールに迫った。
ところがである。マドリーは全く動じる気配を見せない。決して守備的になることはなく、果敢に追加点を狙っていった。
それを可能にさせたのは、ダブルボランチの働きによるところが大きい。そもそも攻撃陣が自由にプレーできるのも、カンビアッソ、マケレレのふたりのサポートがあってこそである。
特にこの日はマケレレの動きが素晴らしく、的確な読みでボールを奪取、さらに機を見ては前線へと顔を出して攻撃にも関与するなど、地味ながらも大きな働きをこなしていた。
84分、ロナウドに代わって登場したグティが追加点を叩き込むと、ようやく勝負の行方は決した。もはやオリンピアに反撃の猶予は残されておらず、そして響き渡るタイムアップの笛――。
豊富なタレントを誇るだけでなく、勝利への意欲も備えていたマドリーが、南米の古豪を寄せ付けない圧倒的な強さを見せ付け、世界一の栄冠を、横浜の夜空に高々と掲げた。
※週刊サッカーダイジェスト2002年12月25日号より(一部、割愛・表記修正)
◎第23回トヨタカップ
2002年12月3日/横浜国際総合競技場 観衆66,070人
レアル・マドリー 2-0 オリンピア
得点:ロナウド(14分)、グティ(84分)
マドリー:GK/カシージャス DF/ミチェル・サルガド、イエロ、イバン・エルゲラ、ロベルト・カルロス MF/マケレレ、カンビアッソ(89分パボン)、ジダン(86分ソラーリ)、フィーゴ FW/ロナウド(82分グティ)、ラウール 監督/ビデンテ・デル・ボスケ
オリンピア:GK/タバレッリ DF/イサシ、ペドロ・ベニテス、セラジャ、ハラ MF/エンシソ、カセレス、オルテマン、コルドバ(65分バエス) FW/ミゲル・アンヘル・ベニテス(81分カバジェロ)、ロペス 監督/ネリー・プンピード
【写真】レアル・マドリー IN JAPAN(1998~2005)
しかし、マドリーの勢いにも拍車がかかる。中央で細かく繋ぎ、サイドのR・カルロスへ。そこから一気に逆サイドのフィーゴに繋がり、そこを起点にまた攻撃が始まる……。
面白いようにパスが繋がるために、マドリーの選手たちは、時にゴールを狙うことを忘れてしまっているかのように思われた。1点リードしているという余裕もあったのだろう。彼らは、パスゲームの愉悦に自らが浸っているようだった。
見ている方には痛快ながら、対峙したオリンピアにとっては堪らない。そこで気を吐いたのが、10番を背負ったM・ベニテスだった。この小柄ながらもスピードに長けたドリブラーは、後半に入り、鋭い切れ味を見せ始める。
まず55分、こぼれ球に反応してシュートを放つと、63分には鋭い突破から強烈なミドルでマドリーゴールを襲う。カシージャスの好セーブに阻まれて得点には至らなかったものの、オリンピアにわずかな希望をもたらした。
プンピード監督も動きを見せる。65分、コルドバに代えて長身FWバエスを投入。攻撃的布陣に変えてマドリーゴールに迫った。
ところがである。マドリーは全く動じる気配を見せない。決して守備的になることはなく、果敢に追加点を狙っていった。
それを可能にさせたのは、ダブルボランチの働きによるところが大きい。そもそも攻撃陣が自由にプレーできるのも、カンビアッソ、マケレレのふたりのサポートがあってこそである。
特にこの日はマケレレの動きが素晴らしく、的確な読みでボールを奪取、さらに機を見ては前線へと顔を出して攻撃にも関与するなど、地味ながらも大きな働きをこなしていた。
84分、ロナウドに代わって登場したグティが追加点を叩き込むと、ようやく勝負の行方は決した。もはやオリンピアに反撃の猶予は残されておらず、そして響き渡るタイムアップの笛――。
豊富なタレントを誇るだけでなく、勝利への意欲も備えていたマドリーが、南米の古豪を寄せ付けない圧倒的な強さを見せ付け、世界一の栄冠を、横浜の夜空に高々と掲げた。
※週刊サッカーダイジェスト2002年12月25日号より(一部、割愛・表記修正)
◎第23回トヨタカップ
2002年12月3日/横浜国際総合競技場 観衆66,070人
レアル・マドリー 2-0 オリンピア
得点:ロナウド(14分)、グティ(84分)
マドリー:GK/カシージャス DF/ミチェル・サルガド、イエロ、イバン・エルゲラ、ロベルト・カルロス MF/マケレレ、カンビアッソ(89分パボン)、ジダン(86分ソラーリ)、フィーゴ FW/ロナウド(82分グティ)、ラウール 監督/ビデンテ・デル・ボスケ
オリンピア:GK/タバレッリ DF/イサシ、ペドロ・ベニテス、セラジャ、ハラ MF/エンシソ、カセレス、オルテマン、コルドバ(65分バエス) FW/ミゲル・アンヘル・ベニテス(81分カバジェロ)、ロペス 監督/ネリー・プンピード
【写真】レアル・マドリー IN JAPAN(1998~2005)