【回想録】日本でのレアル・マドリー激闘史――1998年トヨタカップ

カテゴリ:メガクラブ

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年12月12日

相手にとっては不覚ではなく、不運の失点となったロベカル弾。

ラウールの技巧的な決勝ゴールが、国立の大観衆に鮮烈な印象を与えた98年。日本との初邂逅から18年目となる今回、マドリーはどのような娯楽とドラマを我々に提供してくれるだろうか。 (C) SOCCER DIGEST

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 12月12日の早朝に来日を果たしたレアル・マドリー。5回目(インターコンチネンタル・カップ時代も含む)の世界制覇を果たすため、欧州王者が決戦の地に降り立った。
 
 今回のクラブワールドカップの目玉チームであり、今年のバロンドール受賞が確実とされるクリスチアーノ・ロナウドを筆頭に、錚々たる顔ぶれを擁したスター軍団が、ついにその姿を現わしたことで、さらに世界一クラブ決定戦は熱を帯びることとなった。
 
 マドリーの初戦は、15日に横浜国際競技場で行なわれる準決勝のクラブ・アメリカ(中南米カリブ代表)戦。油断ならない相手との対峙を前に、入念に準備を重ねることとなる。
 
 さて、クラブワールドカップ出場は2年ぶりのマドリーだが、来日は実に11年ぶりとなる。これまで、この魅惑の集団が日本に到来したのは6回。戦った試合の数は、公式戦、親善試合を合わせて8つで、通算成績は6勝2敗となっている。
 
 ここでは、これまでマドリーが日本で披露した華麗なプレー、到来したスーパースターたちの雄姿、そして勝利の記憶を、当時のサッカーダイジェストの記事で振り返っていく。今回は、日本との初邂逅を果たした1998年だ。
 
――◇――◇――

強行日程のせいで疲労も感じさせたR・カルロスだが、スピードとパワーで母国のクラブを翻弄し、自慢の左足で貴重なゴールを生み出した。 (C) SOCCER DIGEST

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 世界一決定戦は、ビッグマッチにありがちな比較的な静かな立ち上がりで幕を開けた。とはいえ、中盤を支配するのはマドリーの白である。
 
「選手たちはマドリーに一目置いてしまったようだ」
 
 A・ロペス監督が嘆いたように、バスコの“船員”たちは、立ち上がりから貝になった。マドリーの名に畏怖したのか、およそ6人がペナルティーエリアに張り付いたのである。
 
 7分、ラウールがミドルで狙い、直後にはR・カルロスが左サイドを突き抜ける。10分には、R・カルロスのパスから、サビオがゴール前に肉薄した。
 
 A・ロペス監督は引いてしまった前半を予定外と振り返ったが、それでも彼らの守りは整っていた。過密日程を消化するマドリーは今ひとつ動きが重く、バスコの人垣を崩すのはかなり根気のいる作業になるかと思われた。
 
 ところが、膠着は25分、ひとりの飛び抜けたパワーによって破壊されたのである。右サイドでスローインを受けたセードルフは、前方が詰まっていると見たか、すかさず左へとサイドを変える。パスを受けたR・カルロスはひとつふたつボールを出し、一気に左足を強振した。
 
 ボールの行く手には、バスコのMFがいた。トヨタカップに出場するほどの選手であれば、真正面に飛んでくるロングシュートを弾き返すのは難しい仕事ではないだろう。だが、首をすくめたナザの頭を直撃して、ボールはバスコ・ゴールを深々と突き刺した。
 
 史上最大のオウンゴール。だが、ナザを責めるのは酷かもしれない。なにしろ彼を襲ったのは、破格の左足を誇るR・カルロスの、それも渾身の一撃だ。弾丸のようなシュートは、空中で揺れていたかもしれない。

 これはもう不覚ではなく、不運の失点である。

【写真】レアル・マドリー IN JAPAN(1998~2005
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