さて、ここで挙げた3シーズン、早い時期に敗北を喫したということ以外に、もうひとつ共通点がある。それは、いずれもリーガ、チャンピオンズ・リーグを制した、歴史的なシーズンだったということだ。08-09、14-15シーズンはコパ・デル・レイを加えた三冠を達成している。
リーガでの早期黒星と好成績という関係性を見ていくと、初の欧州制覇を果たした91-92シーズンにはリーガ2節で早くもセビージャに敗れており、2度目のチャンピオンズ・カップ(当時)決勝進出を果たした85-86シーズンも3節でA・マドリーの軍門に降った。
さらに、それ以前のバルサの歴史に残るシーズンを振り返ると、ヨハン・クライフをアヤックスから獲得し、14年ぶりのリーガ制覇を果たした73-74シーズンは、1節でエルチェに敗れただけでなく、6節までの成績は1勝2分け3敗という惨憺たるものだった。
リーガ連覇を達成した59-60、52-53シーズンも、それぞれエルチェ、オビエドに2節で初黒星を喫している。
と、ここまではバルサにとって縁起の良いデータばかりを挙げてきたが、それ以外に早期敗戦を喫したシーズンも当然多々ある。2節でビルバオに敗れた00-01シーズンは、会長、監督が交代した変革期だったが、チームは不振を極め、リーガ4位の成績に終わった。
それ以前では、開幕戦でヒホンに敗れた94-95シーズン、バルサは長く栄光の時代を謳歌した「ドリームチーム」が崩壊し、リーガでは4位に沈み、5連覇はならなかった。
宿敵マドリーのリーガ5連覇を許した89-90シーズン、バルサは開幕戦でバジャドリーに完封負け。クライフが監督として帰還する前年の87-88シーズン、混乱の1年を予感させるように2節で早くもセビージャに敗れ、そこから5連敗を喫した(順位は戦後最悪タイの6位)。
このように、過去30シーズンとそれ以前の主要なシーズンに限ったデータのなかでは、リーガで初黒星が早い(3節以内)ほど好成績を挙げる確率は高かったが、もちろん、敗因も、チームの置かれた状況もシーズンによって全く異なるので、そこに因果関係を見つけることは難しい。
あくまでも過去のデータとして、またファンならば都合の良い「ジンクス」として、今シーズンのバルサの動向を見守ってはいかがだろうか。
