この試合に特別な思いで臨むことになるのは、エースのクリスチアーノ・ロナウドだ。スポルティングといえば、彼がその偉大なプロキャリアをスタートさせた母国のクラブである。12歳で下部組織に入団し、2002年でプロデビューを果たした。
そんな思い出のクラブとの対戦について、彼は『uefa.com』で「特別なチームとの、特別な試合だ。自分のキャリアのなかでも、特別な瞬間になるだろうね」と語っている。
もちろん、マドリーのエースであるロナウドは、ただ感傷に浸るだけでなく、対戦相手としてのスポルティングを「良い選手がいて、良い監督がいる、非常に強いチームだ」と警戒している。
ロナウドがスポルティングと対戦するのは、マンチェスター・ユナイテッドに所属していた2007-08シーズン以来、2度目のこと。その時はグループステージで対戦し、2戦とも彼の決勝ゴールで勝利を挙げている。
さて、この対決の当事者のひとりであり、ロナウドに対して熱い視線を注いでいるのが、スポルティングのブルーノ・デ・カルバリョ会長だ。
「我々にとって特別な選手との対戦は、非常に素晴らしいものとなるだろう。彼にとっても、そのキャリアの原点となったクラブとの対戦は特別なものとなるはずだ。当然ながら、我々は必死になって、彼を抑えにいくことになるが」
『Marca』の取材に対してそう語った会長は、過去を振り返りながら、03年8月にロナウドが電撃的にマンチェスター・Uに移籍した時のことに触れ、「スポルティングが、あそこで彼を売却したのは大きな間違いだった」と断言する。
03-04シーズン開幕前の親善試合で両クラブが対戦した際、マンチェスター・Uの当時の監督、アレックス・ファーガソンが18歳のロナウドのプレーに衝撃を受け、すぐにコンタクトを取って獲得してしまったことは非常に有名な話である。
「ロナウドは当時から、その才能を十分に発揮しており、マンチェスター・Uがすぐに彼を獲得したくなったのも当然だ。しかし、スポルティングは彼をもっと長く留めさせるべきだった。スポーツ的な見地からも、ビジネス的な見地からも、当時のクラブの判断は誤りである」
そう語り、今でもロナウドに対する執着心を露にするデ・カルバリョ会長は、「彼には、スポルティングで引退してほしい」と、願望を口にする。
「彼は常々、スポルティングに対する愛を語っている。世界の大使と言ってもいい彼が、キャリアの最後をスポルティングで迎えることになったら、どんなに素晴らしいことだろうか」
もっとも、2018年で契約満了を迎えるロナウドは最近、マドリーとの契約延長を望んでおり、「ここでキャリアを全うしたい」とまで発言しているが……。
