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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の八十一「ストライカーの価値を見誤ってはいないか?」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年07月28日

象徴的な事例は、大久保や豊田ではなく、興梠が選ばれること。

その選手に対し、一番に何を求めるのかをもう一度確認した上で、正当な評価を下す必要がある。 写真:サッカーダイジェスト写真部

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 それ以上に危惧すべきは、たくさんの仕事を平均的にこなす選手を周囲が持ち上げることにある。よく走り、肉体的に強く、それなりのボールテクニックがあり、頑張り、協調性がある。二次的な特徴に重きが置かれてしまう。
 
 出発点であるスカウティングに、問題があるのではないか。
 
 3年連続でJリーグ得点王に輝いた大久保嘉人が日本代表に選出されない、というのがその象徴的な例だろう。33歳という「年齢」が理由といわれ、「協調性に欠ける」という見方もある。
 
 しかし、ストライカーとはそもそも我が強い生き物で、それをいかに用いるか、の采配力が問われる。得点力を持った生粋のストライカーをチームとして用いることができないなら、それは監督の器量の問題となる。
 
 リオ五輪のオーバーエイジ枠に関しても、4年連続で15得点以上を記録している豊田陽平ではなく、4年間で一度も15得点以上取ったことがない興梠慎三が当然のように選出された。
 
「スタイルが……」「高さを捨てただけ」などと、当たり前のように語られるが、それは本質を捉えているのか。そのミスリードが決戦の場で差になって「日本には点取り屋がいない」という見解に繋がっているとすれば――。
 
 ストライカーの価値そのものを、問い直すべき時かもしれない。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
小宮 良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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