リオ五輪代表にオーバーエイジは必要か?本田、長友、香川ら北京五輪世代に見る功罪

カテゴリ:日本代表

加部 究

2016年06月09日

仮に遠藤を招集していれば、香川は弾き出されていた?

10年夏にドルトムントに移籍しブレイクした香川だが、遠藤がOAとして選ばれていれば北京五輪に出場できていない可能性もあった。(C)Getty Images

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 ただし北京世代の躍進を、そのままOA枠を使わなかったことと関連付けるのは短絡だろう。おそらく敗戦が反骨心を刺激し、バネになったことは確かだ。しかし一方で勝ち進んだとしても、彼らなら世界との差を一層リアルに認識し、成長の糧にした可能性もある。

 北京五輪でボランチを務めたのは、本田拓也、細貝萌、梶山陽平らの面々だが、遠藤が出場できていれば少なからず戦力アップは望めた。1点差負けが分けに、あるいは勝利へと変わった可能性もある。この年代だからこそ1試合でも多くの真剣勝負が、日常では摂取 できない貴重な栄養になったはずだ。しかし遠藤が席を占めれば、弾き出される選手が出る。遠藤は結果を導いたかもしれないが、それでひとつの可能性を閉ざすリスクもあった。
 
 そう考えると、とりわけ北京五輪のケースは、格好の参考資料になる。遠藤を招集できた場合に、反町監督がどんな選択をしたかは分からない。だが当時十代で選出されていた香川真司が、弾き出されてしまった可能性も否定はできない。この時点で、ドルトムントに移籍して大ブレイクする未来は、誰にも見えていないのだ。

 もちろん香川なら、五輪に出場できなくても成功の道を邁進したかもしれないが、五輪で日の丸をつけたことがフル代表選出へのタイミングを早め、ブレイクを後押しした可能性もある。そして香川の成功を保証するにはユルゲン・クロップ監督が指揮を執るあの10年夏にドルトムントへ移籍する必要があった。こうして振り返っても、OA枠の是非は非常にナーバスな問題になるのだ。
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