それでも出てくるのは、やはり反省の言葉だ。
 
「パワープレーにも、みんなで上手く対応できていた。それだけに、自分のところで、チームを救うようなプレーをもっと見せたかった」
 
　PKキッカーを務めたことについては、「自分から『４番手でも、５番手でも蹴れます』と言った。自分から積極的に蹴ると言ったこと、それに真ん中に蹴ったことには、後悔していない」と言う。むしろ、「止めたかった。自分が止めていれば、勝てていた。そのほうが悔しくてたまらない」と、守備面でもっと貢献できたはずであったと悔やんだ。
 
　守り切れば２試合通算スコアで勝てていた、延長後半アディショナルタイムに喫した３失点目。相手の鋭く重たいブレ球は、右手に当てたものの弾き出せなかった。相手のシュートが完璧だったと言えて、西川の非というより、そのシュートを打たせてしまったことのほうが問題だったと言えた。
 
　それでも、西川は「手に当てていたのだから、止めなければいけなかった。自分の力であれば、弾き出せていたはず」と唇を噛み締めた。
 
　ゴール裏にあいさつに行くと、熱い声援が送られた。サポーターには、とにかく申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
 
「突破を決める瞬間を見るために韓国まで来てくれて、勝利をプレゼントしたかった。重たい１敗だと受け止めている。ここから、また強くならなければいけない」
 
　放心の一敗。浦和の守護神は、この日、無理に笑おうとはしなかった。ただ、その「強くならなければいけない」という言葉には、浦和のゴールを背負ってきた「ナンバー１」として、新たなる覚悟が込められているようだった。
 

取材・文：塚越 始（サッカーダイジェスト編集部）

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