再びの浪人生活は否定。
東京近郊で行なわれている日本代表の事前合宿2日目、GKとして唯一参加している川島永嗣は前日と変わらず精力的にトレーニングに励んだ。
川島といえば、気になるのが同日に英紙『ザ・クーリエ』が伝えたダンディー・ユナイテッド退団の噂だ。クラブと川島は新シーズンに向けて1年の契約延長オプションを結んでいたが、クラブがそれを行使しないというのだ。
そもそも川島は2015年5月、当時所属していたベルギーのリールセ退団後、新天地を見つけられず、半年の浪人生活を強いられていた。日本代表からも外れ、苦しんでいた際、川島に手を差し伸べたのがスコットランドのダンディー・Uだった。
しかし15-16シーズン、チームは2部へ降格。多くの主力が退団を強いられるなか、川島もそのひとりに含まれているのだという。
この報道に対し川島は「(報道があった)みたいですね。ただ(契約延長の)オプションを行使しないというのは向こう(クラブ)だけで決められる話ではない。向こうではエージェントがしっかり話をしてくれています。その報道がなにを前提にしているか分からないですね」と、やや困惑した表情を浮かべた。
周囲が心配をするのは再び、フリーの身となり、所属先が決まらないケースだ。ただ、その点は本人も重々承知している。「それはもうやりたくない」とキッパリ否定する。
ダンディー・Uに所属し、プレー機会を得られたことで、今年3月には日本代表復帰を果たした。出場機会こそなかったが、久々のナショナルチームの空気に気持ちは高ぶったという。だからこそ、来月に迎えるキリンカップ、そしてその先のワールドカップ・アジア最終予選への想いは強い。
「誰が出るかは監督が決めること。ただ、3月に久々に呼んでもらえたのはチャンスがあるということ。もう一度、代表でやれるチャンスをもらえたのは嬉しい。向こうで試合に出られるようになって、ここに照準を合わせてやってきた。新しい経験をしっかりプレーで見せていきたい。準備を怠らずにアピールしたい」
GKとして海外でプレーすることについては次のように語る。
「僕らはその国にいるキーパーより高いレベルでプレーしなくてはいけない。やっぱりヨーロッパはレベルが高い。そのなかでクラブは日本人のキーパーを獲って、代えの利かないポジションを任せるわけだから、上手くいかないと批判されてしまう。クラブとしてリスクがある。だから力を見せていかないといけないし、言葉の壁もある。やはり難しさはある」
ただ、その難しさが分かっているからこそ、川島はワンプレー、ワンプレーに真摯に向き合う。そして2010年から約6年も海外で活躍を続けてきた。経験豊富な守護神は去就に対しても焦りを見せない。自分は必要としてくれるクラブのために全力で戦うだけ――。代表では、西川周作、東口順昭らライバルは多いが、百戦錬磨の男が日本のゴールマウスに戻ってくる日はそう遠くないように感じる。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
川島といえば、気になるのが同日に英紙『ザ・クーリエ』が伝えたダンディー・ユナイテッド退団の噂だ。クラブと川島は新シーズンに向けて1年の契約延長オプションを結んでいたが、クラブがそれを行使しないというのだ。
そもそも川島は2015年5月、当時所属していたベルギーのリールセ退団後、新天地を見つけられず、半年の浪人生活を強いられていた。日本代表からも外れ、苦しんでいた際、川島に手を差し伸べたのがスコットランドのダンディー・Uだった。
しかし15-16シーズン、チームは2部へ降格。多くの主力が退団を強いられるなか、川島もそのひとりに含まれているのだという。
この報道に対し川島は「(報道があった)みたいですね。ただ(契約延長の)オプションを行使しないというのは向こう(クラブ)だけで決められる話ではない。向こうではエージェントがしっかり話をしてくれています。その報道がなにを前提にしているか分からないですね」と、やや困惑した表情を浮かべた。
周囲が心配をするのは再び、フリーの身となり、所属先が決まらないケースだ。ただ、その点は本人も重々承知している。「それはもうやりたくない」とキッパリ否定する。
ダンディー・Uに所属し、プレー機会を得られたことで、今年3月には日本代表復帰を果たした。出場機会こそなかったが、久々のナショナルチームの空気に気持ちは高ぶったという。だからこそ、来月に迎えるキリンカップ、そしてその先のワールドカップ・アジア最終予選への想いは強い。
「誰が出るかは監督が決めること。ただ、3月に久々に呼んでもらえたのはチャンスがあるということ。もう一度、代表でやれるチャンスをもらえたのは嬉しい。向こうで試合に出られるようになって、ここに照準を合わせてやってきた。新しい経験をしっかりプレーで見せていきたい。準備を怠らずにアピールしたい」
GKとして海外でプレーすることについては次のように語る。
「僕らはその国にいるキーパーより高いレベルでプレーしなくてはいけない。やっぱりヨーロッパはレベルが高い。そのなかでクラブは日本人のキーパーを獲って、代えの利かないポジションを任せるわけだから、上手くいかないと批判されてしまう。クラブとしてリスクがある。だから力を見せていかないといけないし、言葉の壁もある。やはり難しさはある」
ただ、その難しさが分かっているからこそ、川島はワンプレー、ワンプレーに真摯に向き合う。そして2010年から約6年も海外で活躍を続けてきた。経験豊富な守護神は去就に対しても焦りを見せない。自分は必要としてくれるクラブのために全力で戦うだけ――。代表では、西川周作、東口順昭らライバルは多いが、百戦錬磨の男が日本のゴールマウスに戻ってくる日はそう遠くないように感じる。
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

5月26日発売号のサッカーダイジェストは、オーバーエイジ特集。果たして、リオ五輪のオーバーエイジ候補は誰なのか? 本命、対抗、大穴で予想してみました。またU-23日本代表企画では「残り15枠を巡るサバイバル」に迫り、6月復帰予定の室屋選手(FC東京)にインタビュー取材。クラブダイジェストでは、J2で好調の札幌を取り上げています。