原口のボランチ起用はひとつのオプションとして面白いかもしれない。あの采配は、山口が怪我で途中退場した影響もあっただろうけど、得点がほしい、負けている展開なら有り。前も向いてボールを持てるし、効果的なドリブルができれば香川や本田といった前線の選手がフリーになれる。もちろん、個人的には緊急措置と考えてはいる。
 
　ただ、結果として得点は奪えたけど、原口が投入されてから長谷部が真ん中気味にポジションを取って、１ボランチのように振る舞っていた。だから、前に出たところを上手く使われて、長友が引き出されてしまい、裏を取られる場面もあった。最終予選では守備的な選手を配置するだろうけど……。
 
　最終予選はどういう組み合わせになるか分からないけど、現状のまま臨めばポンポンって失点を食らいそうだ。そういう意味では、２次予選で課題が明確になったとポジティブに考えてもいいかもしれない。時間をかけて修正を施せるからね。
 
　もちろんワールドカップ出場が決まったら世界仕様の戦い方になるだろう。まずは最終予選に向けて、重心が前掛かり気味の際のマネジメント術を考えながらチームを仕上げてほしい。
 
　良かった点は、欧州組がしっかりとしたプレーを見せたこと。本田はクラブでも試合に出ていてコンディションが整っているから、相手を背負った時にボールを絶対に奪われない。あのポジションでタメができると、その分フリーになれる香川も活きるし、ラインの押し上げの助けにもなる。
 
　岡崎はアフガニスタン戦でのゴールばかりが取り上げられるけど、その他の部分でもプレミアリーグの首位チームでスタメンを張っている凄さをみんなが感じたはず。清武はゴールしたけど、キックが正確だから前を向ければチャンスを作れる。今まで代表での清武にポジティブなイメージを持ってなかったけど、「さすがだな」というシーンを幾度となく作れていた。香川が抑えられてしまった時に、代わりに司令塔として起用できる目途も立った。
 
　香川はこのレベルでは余裕でプレーしていた感がある。彼はどんな密集地帯でもスペースをパッと見つけて、フリーになれる。メッシとか、世界の一流プレーヤーと同様の凄みを持っている。どんなにマークされていても、ボランチとCBがスペースを潰していても、フッとひとりになれるんだ。
 
　最終予選に向けては、対戦相手の戦術にもよるから組み合わせが決まっていない段階でどうこう話すのは難しい。ただ、日本はどこが相手でも得点は取れる。だから、何度も言うけど大切なのは守備だ。ハリルホジッチ監督が本領を出すのはこれからだと信じている。ブラジル・ワールドカップでアルジェリアを勝たせているし、経験は豊富。真価を見極めるのはこれから。２次予選までは選手の技量だけで通過できちゃうからね。