ソシオは沈黙を保っている
ラポルタは決して優秀な経営者ではない。2003年に会長選で初当選を果たした陣営が解体状態に陥った後、2008年には不信任動議が提出された。現在は財務部長のフェラン・オリベと副会長のエドゥアルド・ロメウを頼りにしている。
一方、クラブのトップとして際立っているのは、不安定な財政状況、もっと言えば貧困の中にあっても、非常に優れたチームを編成する能力だ。即興性を重視し、あらゆる交渉を試合のように取り組み、お金が逃げていくような不確実が高い中でも、勇気を発揮できる環境に身を置くことに居心地の良さを感じている。過去のどの会長よりもサッカーを知り、サッカーを愛している人間たればこそであろう。
結局のところ、バルサはラポルタの楽観主義に支えられている。逆に言えば、疑うことも、懐疑的になることも、ましてや悲観的になることも許されない。ラポルタはヨハン・クライフから学んだ。リスクを冒し、ネガティブな感情を排除し、ハビエル・テバス(ラ・リーガ会長)への抵抗勢力を巻き込み、フロレンティーノ・ペレス(レアル・マドリー会長)に立ち向かう勇気を要求し、「マドリードの社会の権力中枢に巣食う“社会学的マドリディズモ”に悪用され、バルサを汚し、消耗させた」(全てラポルタの言葉だ)ネグレイラ事件を巡り、被害者として出廷することを求めた。
一方、クラブのトップとして際立っているのは、不安定な財政状況、もっと言えば貧困の中にあっても、非常に優れたチームを編成する能力だ。即興性を重視し、あらゆる交渉を試合のように取り組み、お金が逃げていくような不確実が高い中でも、勇気を発揮できる環境に身を置くことに居心地の良さを感じている。過去のどの会長よりもサッカーを知り、サッカーを愛している人間たればこそであろう。
結局のところ、バルサはラポルタの楽観主義に支えられている。逆に言えば、疑うことも、懐疑的になることも、ましてや悲観的になることも許されない。ラポルタはヨハン・クライフから学んだ。リスクを冒し、ネガティブな感情を排除し、ハビエル・テバス(ラ・リーガ会長)への抵抗勢力を巻き込み、フロレンティーノ・ペレス(レアル・マドリー会長)に立ち向かう勇気を要求し、「マドリードの社会の権力中枢に巣食う“社会学的マドリディズモ”に悪用され、バルサを汚し、消耗させた」(全てラポルタの言葉だ)ネグレイラ事件を巡り、被害者として出廷することを求めた。
贈収賄容疑で起訴することを決定した判事の独断が、逆にラポルタを勢いづかせた。敵の正体を突き止め、勝利するのは彼の得意とするところだ。打倒ヌニェス(ホセ・ルイス・ヌニェス=1978年から2000年までの長きにわたりバルサの会長を務めた人物)を果たして第一次政権を確立し、今また“社会学的マドリディズム”と対峙している。ただなぜバルサは審判委員会の副会長に700万ユーロ以上を支払ったのかという争点は明らかにされないままだ。
カタルーニャの人々は、証拠の欠如を前にして、被害者意識からか、あるいは自己防衛のためか、ラポルタの挑戦の傍観者となっている。ソシオもまた沈黙を保っている。
クラブのオーナーという立場ではあるが、財政危機によって何か経済的に損失を被ったわけではない。経費の削減とソシオの不便を除くという口実のもとに総会でさえもオンラインで開催された。第67条の効力停止措置が取られたため、誰も経営の失策を理由に辞任する義務はなくなった。資金集めに苦戦しながらシステムのミスによって会長に返り咲いたラポルタが、現在はクラブのシステムそのものになっている。
文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルサ番)
翻訳●下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
「日本人は怒っていた」久保建英、バルサの俊英に苛立ちか。現地メディアが指摘した理由は?「試合終了後も収まらず...」
カタルーニャの人々は、証拠の欠如を前にして、被害者意識からか、あるいは自己防衛のためか、ラポルタの挑戦の傍観者となっている。ソシオもまた沈黙を保っている。
クラブのオーナーという立場ではあるが、財政危機によって何か経済的に損失を被ったわけではない。経費の削減とソシオの不便を除くという口実のもとに総会でさえもオンラインで開催された。第67条の効力停止措置が取られたため、誰も経営の失策を理由に辞任する義務はなくなった。資金集めに苦戦しながらシステムのミスによって会長に返り咲いたラポルタが、現在はクラブのシステムそのものになっている。
文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルサ番)
翻訳●下村正幸
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