ダイナミズム溢れるトリッキーなプレーから、見ているものを興奮させるのがいつもの「ミトマ」だ。しかしながら、日曜日の彼が見せたのはその欠片程度だった。16分、30メートル近くドリブルを続けて、その過程でマカリステルをあっさりと抜き去った。直後にこのアルゼンチン代表からのファウルを受けてフリーキックを得たが、その後は再び影をひそめてしまう。

　同30分ごろには、オフサイドトラップを鮮やかに破るランでペナルティエリア内に走りこんだものの、足を滑らせてチャンスを逸した。この間、そしてこの後もTAAにきっちりケアされ、有効的な動きは皆無に近かった。

　それでも、69分にはジョアオ・ペドロとのコンビネーションから、ペナルティエリア内でボールを拾った三笘が右足でシュート。枠内を捉えるシュートではなかったものの、ブロックに入ったフィルジル・ファン・ダイクの左手に当たった。しかし主審のアントニー・テイラーからPKの判定はなく、オンフィールドレビューにも至らなかった。

　80分にTAAが交代、代わりにジョー・ゴメスがピッチに立つと三笘がリバプールの守備陣に脅威をもたらす回数が増えていく。40分には、左サイドからワンタッチで抜け出して中央に切り込もうとしたが、ゴメスが後ろからファウルして止める場面もあった。
 

　結果的にドローとなったこの試合で、明らかになった一つは「三笘には休息が必要」ということである。26歳はここまででブライトンが戦った11試合中10試合で先発出場し、すでに905分間プレーしている。昨季はシーズンを通して先発出場は30試合で、総出場時間は2910分。まだシーズン開幕から２か月で約３分の１のプレータイムをこなし、怪我がなければ、今季の出場時間が大幅に増えるのは明らかだ。
　
　日本代表の一員としてカナダとチュニジアと対戦する予定だったが、三笘は今回、「体調不良」を理由として代表辞退を申し入れた。英断だったと思う。

　フレッシュな三笘こそ、危険な三笘だ。ブライトンにとっては、使わないのがもったいないほどの選手なのは確かだ。だがその一方で、ロベルト・デ・ゼルビ監督は今後はより三笘のプレータイムをマネジメントしていくべきである。さもなければ、シーズンを通じてデンジャラスな三笘を見ることはできず、それどころか怪我で長期離脱ということになってもおかしくない。

　それだけは、絶対に避けなければならない。

取材・文●リッチー・ミルズ（ブライトン番記者）
翻訳●松澤浩三

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