初来日から２年後、初のチャンピオンズ・カップ（現リーグ）優勝を果たしてトヨタカップに出場したバルサ。「ドリームチーム」を率いて国立競技場でのサンパウロ戦に臨むも、残念ながら１-２の逆転負けを喫した。
 
　それからバルサが日本に戻って来るまでには、実に12年もの年月を要した。
 
　ドリームチーム崩壊後は長い苦悩の時が続いたバルサだったが、2003年にフランク・ライカールトが監督に就任してからはチーム状態が改善され、またロナウジーニョというスーパースターがその才能を発揮できるようになったことで、欧州屈指の魅力的なチームに変貌しつつあった。
 
　大きな希望持って新シーズンの開幕を待っていた時期に、バルサは日本にやって来た。そして彼らは、日本のファンの期待に十二分に応えてみせた。
 
　鹿島戦では、ロナウジーニョが観客を魅了。コンディションは完全でなく、守備をさぼったり、運動量も多くなかったが、ボールを持つと華麗なドリブルと効果的なフェイントでJリーガーを翻弄し、味方の３ゴールを演出した。
 
　アシストのうちのひとつが、まだリーガデビューを果たす前のリオネル・メッシへのものだったのも、今となっては感慨深い。
 
　続く磐田戦。親友のグラウが所属するクラブとの対戦に燃えたわけではないだろうが、この試合でもロナウジーニョはひとり異次元のプレーを披露した。
 
　流れるようなドリブルと、トリッキーなスルーパスでチャンスを次々に生み出し、ヘンリク・ラーションとルイス・ガルシアのゴールをアシストしている。
 
「取れると思ったけど、全然取れなかった」と磐田の服部年宏はロナウジーニョの技術に舌を巻いたが、彼だけでなく、バルサはチームとしての強さも発揮。磐田に２本しかシュートを許さなかった。
 
　見る者を十分に楽しませて日本を後にしたバルサ。そして間もなく始まったシーズンで、６年ぶりのリーガ優勝を果たすのだった。
 
【写真で振り返る】バルサ日本遠征2004
 
◎FCバルセロナ・オン・ツアージャパン2004
04年８月１日・国立競技場
バルセロナ ５-０ 鹿島アントラーズ
得点：ジュリ（16分・25分）、ラーション（30分）、L・ガルシア（77分）、メッシ（88分）
 
◇バルセロナ
出場メンバー：GKルストゥ、DF ベレッチ、プジョール（HTオレゲール）、マルケス、F・ナバーロ（60分シルビーニョ）、MFジェラール、ガブリ（HTシャビ）、ファン・ブロンクホルスト（HTイニエスタ）、FWジュリ（HT L・ガルシア）、ラーション（74分メッシ）、ロナウジーニョ
監督：ライカールト
 
◇鹿島
出場メンバー：GK小澤（59分杉山）、DF名良橋、金古（46分岩政）、大岩（64分石川）、新井場、MF本田（HT内田）、フェルナンド、増田（HT青木）、野沢、FW深井（HT中島）、平瀬
監督：T・セレーゾ
 
 
◎FCバルセロナ・オン・ツアージャパン2004
04年８月４日・静岡スタジアム エコパ
バルセロナ ３-０ ジュビロ磐田
得点：ラーション（29分）、ラーション（35分）、L・ガルシア（62分）
 
◇バルセロナ
出場メンバー：GK V・バルデス、DFベレッチ（59分エジミウソン）、プジョール、マルケス（77分モラ）、シルビーニョ、MFオレゲール、ガブリ（HTシャビ）、ファン・ブロンクホルスト（59分ジェラール）、FWジュリ（59分イニエスタ）、ラーション（HT L・ガルシア）、ロナウジーニョ
監督：ライカールト
 
◇磐田
出場メンバー：GK佐藤、DF鈴木（37分上本）、服部、山西、MFガヴィオン（70分河村）、名波、川口（77分船谷）、前田、成岡（HTカレン・ロバート）、FW中山（60分西野）、グラウ
監督：桑原