【ブンデス現地コラム】復活の兆しを見せるアウクスブルク。揺るがない結束を基盤に――

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2015年12月03日

あえて「継続」を選択したヴァインツィール監督。

就任4年目のヴァインツィール監督。窮地に立たされたチームを2部降格の危機から救えるか。(C)Getty Images

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 しかし、マルクス・ヴァインツィール監督はあくまで冷静だった。選手のクオリティーを信じ、これまでと同様にハードワーク主体のスタイルを志向。13節のシュツットガルト戦で4-0と大勝を収めて最下位から脱出すると、翌14節では強豪ヴォルフスブルクを相手にスコアレスドローに持ち込み、16位まで浮上させた。依然として気が抜けないものの、最悪の状態からは脱出したと言っていいだろう。
 
 実はヴァインツィール監督は、筆者がドイツ・サッカー連盟のA級コーチングライセンスを取得したときの同期だ。普段は物腰の柔らかい温厚な性格だが、ベンチに立つと端的ながら説得力のある言葉でチームの雰囲気を一気に引き締める。
 
 また選手からの信頼も厚く、連敗続きでもチーム全体のモチベーションは低下しなかった。そうした信頼関係があったからこそ、大崩しなかったのだとヴァインツィール監督は胸を張る。
 
「選手が浮足立ったり、チームメイト同士で諍いがあったりしたら、たしかに心配しただろう。でも、そうしたトラブルは全くなかったし、自分たちのプレースタイルに大きな問題があったわけでもない。序盤に負けが込んだのは、過密日程で心身ともにフレッシュさを欠いたのが原因だった。最近はハードなスケジュールに慣れてきたし、ミスが減ってきている」
 
 ここにきて新戦力のク・ジャチョルがチームに馴染み、負傷で戦列を離れていた元ドイツ代表のピオトル・トロホウスキも徐々にフィットするなど、明るい材料は多い。前半戦の残り3試合で少しでも多くの勝点を上積みするのが、目下の目標だ。
 
 もっとも本格的な反撃は、ウインターブレイク明け以降になるだろう。中断期間中にじっくりと時間をかけてチームを立て直し、再び快進撃を見せられるか。
 
文:中野吉之伴
 
【著者プロフィール】
中野吉之伴/ドイツ・フライブルク在住の指導者。09年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はFCアウゲンのU-19(U-19の国内リーグ3部)でヘッドコーチを務める。77年7月27日生まれ、秋田県出身。
 
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