終盤にミランは実質4トップにして打って出たが…。
一方のミランは、ほぼ守勢一方。前線にCFのバッカだけを残してチェルチ、ニアングの両ウイングも含めた9人をボールのラインより下に戻して、低い位置にコンパクトなブロックを築くという振舞いは、得点を奪うよりも失点をしないことを明らかに優先したものだった。
象徴的なのは、両SBがまったく攻め上がりを見せることなく、最終ラインに貼り付いていたという事実だ。
セットプレー以外で唯一得点の可能性に繋がったであろう数少ないカウンターのチャンスにしても、思い切り良く人数をかける場面は皆無だった。
チャンスらしいチャンスは、前半半ばに右サイドから裏に走り込んだチェルチの頭にボナベントゥーラが浮き球パスをぴったり合わせた場面くらいだったが、これはチェルチがヘディングシュートを試みることすらせず、誰もいないゴール前に頭で落とすという信じられないプレー選択でみすみす無駄にして終わった。
アッレグリは後半、エルナネスに替えてCBボヌッチを投入、システムを3-5-2に切り替えたが、この采配も試合の流れを大きく変えるには至らなかった。
中盤のキープレーヤーたるべきポグバは、ボールを持つたびにトリッキーで難易度の高いプレーでチャンスを作り出そうと試みては失敗するという繰り返し。独力で状況を打開しようという意識が強過ぎて、攻撃にスムーズな流れを作り出すことができないどころか、むしろそれを妨害する要因になっていた。
守るミランを攻めるユーベが崩せないという煮え切らない展開のまま続いた均衡が破れたのは65分。一瞬の加速でアバーテをぶっちぎったA・サンドロが、ポグバが左サイドのスペースに送り込んだ浮き球のパスを収めてクロス。タイミングよくニアサイドに走り込んだディバラが、胸トラップから得意の左足でニアポスト際に叩き込んだ。
ミランのミハイロビッチ監督はこの直後、中盤で攻守両局面に健闘していたクツカを下げて、前線にL・アドリアーノを投入。攻撃時には左右のウイングも上がらせて4-2-4気味するシステムで反撃を試みた。
しかしこれも、4人のアタッカーに対して実質5バックで対応するユーベの3-5-2にうまく対応され、チャンスらしいチャンスを作ることもできなかった。
終了間際の84分、ニアングとの交代で投入された本田もまったく何もできず、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
分析:ロベルト・ロッシ
構成:片野道郎
【分析者プロフィール】
Roberto ROSSI(ロベルト・ロッシ)/1962年3月16日生まれのイタリア人監督。現役時代はMFで、チェゼーナの育成部門でアリーゴ・サッキ(元イタリア代表監督)に、ヴェネツィアではアルベルト・ザッケローニ(元日本代表監督)に師事。99年に引退し、01~08年はラツィオやインテルなどでザッケローニのスタッフ(コーチ兼スカウト)を務める。その後は監督として独り立ちしてイタリアの下部リーグのクラブを指揮し、15年夏からロマーニャ・チェントロ(イタリア4部)を率いる。
【写真で振り返るユベントス対ミラン】
象徴的なのは、両SBがまったく攻め上がりを見せることなく、最終ラインに貼り付いていたという事実だ。
セットプレー以外で唯一得点の可能性に繋がったであろう数少ないカウンターのチャンスにしても、思い切り良く人数をかける場面は皆無だった。
チャンスらしいチャンスは、前半半ばに右サイドから裏に走り込んだチェルチの頭にボナベントゥーラが浮き球パスをぴったり合わせた場面くらいだったが、これはチェルチがヘディングシュートを試みることすらせず、誰もいないゴール前に頭で落とすという信じられないプレー選択でみすみす無駄にして終わった。
アッレグリは後半、エルナネスに替えてCBボヌッチを投入、システムを3-5-2に切り替えたが、この采配も試合の流れを大きく変えるには至らなかった。
中盤のキープレーヤーたるべきポグバは、ボールを持つたびにトリッキーで難易度の高いプレーでチャンスを作り出そうと試みては失敗するという繰り返し。独力で状況を打開しようという意識が強過ぎて、攻撃にスムーズな流れを作り出すことができないどころか、むしろそれを妨害する要因になっていた。
守るミランを攻めるユーベが崩せないという煮え切らない展開のまま続いた均衡が破れたのは65分。一瞬の加速でアバーテをぶっちぎったA・サンドロが、ポグバが左サイドのスペースに送り込んだ浮き球のパスを収めてクロス。タイミングよくニアサイドに走り込んだディバラが、胸トラップから得意の左足でニアポスト際に叩き込んだ。
ミランのミハイロビッチ監督はこの直後、中盤で攻守両局面に健闘していたクツカを下げて、前線にL・アドリアーノを投入。攻撃時には左右のウイングも上がらせて4-2-4気味するシステムで反撃を試みた。
しかしこれも、4人のアタッカーに対して実質5バックで対応するユーベの3-5-2にうまく対応され、チャンスらしいチャンスを作ることもできなかった。
終了間際の84分、ニアングとの交代で投入された本田もまったく何もできず、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
分析:ロベルト・ロッシ
構成:片野道郎
【分析者プロフィール】
Roberto ROSSI(ロベルト・ロッシ)/1962年3月16日生まれのイタリア人監督。現役時代はMFで、チェゼーナの育成部門でアリーゴ・サッキ(元イタリア代表監督)に、ヴェネツィアではアルベルト・ザッケローニ(元日本代表監督)に師事。99年に引退し、01~08年はラツィオやインテルなどでザッケローニのスタッフ(コーチ兼スカウト)を務める。その後は監督として独り立ちしてイタリアの下部リーグのクラブを指揮し、15年夏からロマーニャ・チェントロ(イタリア4部)を率いる。
【写真で振り返るユベントス対ミラン】