【ブンデス現地コラム】「宇佐美に関心を寄せるシュツットガルトとはどんなチームか?」

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2015年11月20日

アイデアに富んだプレーで崩しの質を高めてくれるはず。

ガンバ大阪で得点を量産する宇佐美には、フランクフルトやバレンシアも興味を示している。(C)Getty Images

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 ここで1つの疑問が浮かび上がってくる。攻撃はともかく守備に大きな課題を抱えるシュツットガルトが、なぜ宇佐美貴史(ガンバ大阪)をリストアップしたのかという点だ。
 
 その背景にあるのは主力の去就だ。ハルニクやコスティッチといったFWや2列目を務めるアタッカーに移籍の噂があり、ディダビに至ってはシーズン終了後のレバークーゼン入団が有力視されている。彼らの後釜候補のひとりとして、ブンデスリーガでのプレー経験がある宇佐美に興味を持ったようだ。
 
 ドイツでの宇佐美に好印象を抱く者は少ないだろう。だが、ポテンシャルの高さは折り紙付きで、バイエルンからホッフェンハイムに移籍した当初(12年夏)は主力として間違いなく大きな期待を寄せられていた。彼自身も開幕からの数試合でハイパフォーマンスを披露し、その期待に応えてみせた。
 
 不運だったのは、その後にチームが極度のスランプに陥ったこと。その結果、守備的な戦術を採用せざるを得なくなったうえ、相次ぐ監督交代で宇佐美は居場所を失った。どんな状況でも結果を残すのがプロの宿命とはいえ、当時はまだ20歳の若者だっただけに、情状酌量の余地はあるだろう。
 
 局面打開力や得点力は申し分なく、シュツットガルトに加われば4-2-3-1もしくは4-4-2のサイドアタッカーとして起用されるだろう。攻撃サッカーを志向するツォルニガーの下でなら持ち味を存分に発揮できるはずで、アイデアに富んだプレーで崩しのクオリティーを高めてくれるはずだ。
 
 思い出されるのは、今から3年前、ホッフェンハイム時代の宇佐美が決めたゴールだ。左サイドでドリブルを開始した宇佐美はDF4人をごぼう抜きし、華麗にネットを揺さぶった。その美しいゴールを決めた相手がシュツットガルトだったのは、何か運命めいたもの感じざるを得ない。
 
文:中野吉之伴
 
【著者プロフィール】
中野吉之伴/ドイツ・フライブルク在住の指導者。09年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はFCアウゲンのU-19(U-19の国内リーグ3部)でヘッドコーチを務める。77年7月27日生まれ、秋田県出身。
 
 
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