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現役引退後にフロント入り。STVVの立石敬之CEOが回想する大分時代の“波瀾万丈”「壮絶だった。もう一回やれと言われたら…」

カテゴリ:Jリーグ

中田徹

2022年09月04日

大雨の中でライン引き。「『こんなことをしていていいのか』と情けない自分がいた」

かつては同僚だった立石CEOと大分の小沢COO(右)。写真:中田徹

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 私が立石CEOに「『トリニータ愛』を語ってもらえませんか?」と訊くと、「彼に聞いたほうがいい」と20年以上勤め続けている小澤COOに目配せした。すると「離れて分かる大分愛じゃないの」と、立石CEOに返す。同級生の仲の良さがストレートに伝わってきた。

「大分トリニータが何もないところから始めたので、僕から話を聞くと苦労話しか出てこない。スタジアムもなかった中、『大分にワールドカップを誘致したい』と掲げて『お前ら、馬鹿か?』と言われてましたから」と立石CEOは前置きしてから、当時のことを語り始めた。

「僕は大分で97年から99年までプレーし、引退後、クラブの運営部長兼総務部長兼強化担当を務め、会社に泊まりながら時間を忘れるまで仕事していた。経理を全く勉強してこなかったから、当時は領収証の金額にカンマ(,)を入れることすら知らなかった。そういうことを叱られても、自分としては選手上がりだから『驚き!?』 ですよ。例えば森重真人が引退してFC東京に就職したら、そんな扱いをされないよね」

 試合前日にはボランティア50人に「明日はよろしくお願いします」と電話をかけ、当日朝7時に水道局に行って大分市営陸上競技場の鍵を借り、9時から設営を始め、午後2時キックオフ前にはラインを引いた。特に引退翌年、大雨が降った時のライン引きは、今も忘れることができないという。

「大分のキャプテンとして主力だったのに、『こんなことをしていていいのか』と情けない自分がいた。自分は指導者として現場に行きたかったけれど、溝畑宏社長(当時)から『まだ現場には出せない』と言われ続けていたんです」
 
  それでも現場に出たいという思いの強かった立石は、朝8時から夕方5時まで会社の仕事をし、ユースのコーチとして朝6時からの朝練習、夜10時までの練習を指導した。

「その時に清武弘嗣とかが出てきました」
  
 2002年にはトップチームのコーチも務めた。大分は1999年から3季続けてわずか勝点1差でJ1昇格を逃していた。2002年にJ1昇格ができなかったらトリニータがなくなるんじゃないか」というプレッシャーもあった。大分は当時の小林伸二監督のルートを頼りに他のクラブからコーチを招聘しようとしたが、結局、契約に至らなかった。

「伸二さんが『立石をコーチにしてくれればいんだけれど』と溝畑さんに頼んだら「ありえない」と。『でももう他に候補がないから』って粘って粘って、本当に2002年の開幕戦の前に『しょうがない。けど立石くん、1年だけやで』って初めてトップチームのコーチになった」

 この時期は、ユースの朝練習、トップチームの2部練習、ユースの夜練習というサイクルだったという。

「周りのフロントは『立石さんが捕まらない』とずっと言ってました」(小澤COO)

「だけどクラブのどこかにいるんです(笑)。すごい働いていた。壮絶だった。今、もう一回あれをやれと言われたら……。無理だな」
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