安武監督の勧めで卒業延期制度を活用し5年目の大学生活へ
心の中では焦りと絶望感を覚えながらも、鍋田はキャプテンマークを巻いて毅然とした態度でプレーし、仲間たちを鼓舞し続けた。しかし、現実は厳しかった。復帰後、J2とJ3の3クラブに練習参加したが、全て不合格。年明けの1月には「ラストチャンス」とJ3のクラブのキャンプに参加するが、これも不合格。ついに卒業まであと1か月というところで、2022年シーズンのプロ入りの夢はほぼ断たれてしまった。
だが、ショックに打ちひしがれる鍋田の姿を見た安武監督が、彼を慮って「もう1年、うちでやらないか? 卒業延期制度を活用すれば可能だぞ」と提案してくれたことで、新たな選択肢が生まれた。
卒業延期制度とは、卒業に必要な全ての単位を取得済みで、卒業論文も出していれば、もう1年間は大学に籍を残すことができ、半期でも卒業可能な制度だ。当時、鍋田は地域リーグでのプレーを模索しており、即答はできなかったが、安武監督の心配りに対する感謝の気持ちが、大卒プロにこだわる気持ちに火をつけた。
「もう1年やらせてください」
キャプテンマークは中野に託し、5年目の大学サッカーに挑むことを決めた。開幕戦から中野と不動のCBコンビを組み、桐蔭横浜大の屋台骨を支え続けた。チームは今、前期を終えて6勝3敗1分の3位と、悲願の初優勝も狙える位置につけている。
だが、ショックに打ちひしがれる鍋田の姿を見た安武監督が、彼を慮って「もう1年、うちでやらないか? 卒業延期制度を活用すれば可能だぞ」と提案してくれたことで、新たな選択肢が生まれた。
卒業延期制度とは、卒業に必要な全ての単位を取得済みで、卒業論文も出していれば、もう1年間は大学に籍を残すことができ、半期でも卒業可能な制度だ。当時、鍋田は地域リーグでのプレーを模索しており、即答はできなかったが、安武監督の心配りに対する感謝の気持ちが、大卒プロにこだわる気持ちに火をつけた。
「もう1年やらせてください」
キャプテンマークは中野に託し、5年目の大学サッカーに挑むことを決めた。開幕戦から中野と不動のCBコンビを組み、桐蔭横浜大の屋台骨を支え続けた。チームは今、前期を終えて6勝3敗1分の3位と、悲願の初優勝も狙える位置につけている。
この間、鍋田は葛藤を抱えながらも、必死で前に突き進んでいた。彼はこう本音を口にする。
「シーズン最初は本当に難しいことばかりでした。他の同級生がJリーグに進んだり、就職して社会人になっているのに、僕はまだ大学生としてサッカーをやっていていいのかと疑問に思ってしまうこともありました。しかも周りは後輩たちしかいない状況なので、接し方も難しく感じました」
何度も心が折れそうになった。プレー面でも復帰直後に比べると良くはなってきているが、得意のヘッドが怪我前のクオリティにはまだ到達しておらず、周りに迷惑をかけることもある。自分の存在価値に自問自答することもあったが、それでも自分を起用してくれる安武監督、支えてくれる後輩たちへの感謝の気持ちが自分の目標から目を背けないようにしてくれた。
「就斗は本当に頼もしいし、信頼できる存在ですし、水野颯太や寺沼星文はテンション高く僕をいじってくれる。何より安武監督の思いに応えたい。本当に僕は周りに恵まれています。だからこそ、僕は絶対に目標を見失ってはいけない。もちろん、たまに同期と会ったり、Jリーグの試合で(先輩の橘田)健人(川崎フロンターレ)さんや同年代の選手が活躍しているのを見ると、『羨ましいな』とか、『俺、何やってるんだろう』と思ってしまうことも正直あります。けど、もう自分で決めた道なので、真っ直ぐに歩きたいと思っています」
「シーズン最初は本当に難しいことばかりでした。他の同級生がJリーグに進んだり、就職して社会人になっているのに、僕はまだ大学生としてサッカーをやっていていいのかと疑問に思ってしまうこともありました。しかも周りは後輩たちしかいない状況なので、接し方も難しく感じました」
何度も心が折れそうになった。プレー面でも復帰直後に比べると良くはなってきているが、得意のヘッドが怪我前のクオリティにはまだ到達しておらず、周りに迷惑をかけることもある。自分の存在価値に自問自答することもあったが、それでも自分を起用してくれる安武監督、支えてくれる後輩たちへの感謝の気持ちが自分の目標から目を背けないようにしてくれた。
「就斗は本当に頼もしいし、信頼できる存在ですし、水野颯太や寺沼星文はテンション高く僕をいじってくれる。何より安武監督の思いに応えたい。本当に僕は周りに恵まれています。だからこそ、僕は絶対に目標を見失ってはいけない。もちろん、たまに同期と会ったり、Jリーグの試合で(先輩の橘田)健人(川崎フロンターレ)さんや同年代の選手が活躍しているのを見ると、『羨ましいな』とか、『俺、何やってるんだろう』と思ってしまうことも正直あります。けど、もう自分で決めた道なので、真っ直ぐに歩きたいと思っています」