母国に戻ってからも、輝きは取り戻せなかった。サントスでも十分な出場機会を得られず、11年夏にはクルゼイロに移籍したものの右膝の靭帯を断裂して手術と長期間のリハビリを余儀なくされた。
 
　12年４月には古巣コリチーバに復帰したが、再び右膝を痛めてまたしても手術とリハビリ。結局、約１年半もの間、まともにピッチに立てなかった。本人は「引退も考えた」と当時を述懐する。
 
　それでも気を取り直して再起を目指し、13年７月にカムバック。しかし、その後も筋肉系の故障が重なり、コンスタントにピッチに立てない日々が続く。14年７月には、一度もカンプ・ノウでプレーできないままバルサとの契約が満了を迎えた。
 
　あらゆる意味で最悪の年だったのが、翌15年だ。前半戦を故障で棒に振ったうえ、後半戦はクラブの給料不払いでモチベーションも失いかける。さらに11月には、２歳の息子の病死という悲劇にも見舞われた。
 

　16年３月にはロンドリーナへ移籍し、ブラジル全国２部リーグながら27試合に出場して７得点。しかしその後、再びコンディションを落とし、ブラジルやポルトガルのスモールクラブを転々とした。
　
　20年末には、米国アマチュアクラブのパームビーチと契約したものの、コロナ禍の渡航制限によりブラジルからアメリカに渡れず、一度も公式戦に出場せずに退団。以降、所属クラブはない。まだ33歳だが、事実上、現役引退したも同然の状態にある。
 
　ブラジルで大ブレイクし、欧州メガクラブへの移籍を果たしながら、夢破れて帰国。相次ぐ故障に見舞われたうえ、気の優しさも災いしてか、二度とかつての輝きを取り戻せなかった。
 
　現在は、コリチーバで健康と美容に関するショップを経営。第二の人生の幸運を願わずにはいられない。
 
文●沢田啓明
（ワールドサッカーダイジェスト2022年３月17日号から転載）
 
【PROFILE】
●フルネーム／ケイリソン・デ・ソウザ・カルネイロ
●生年月日／1988年12月３日（33歳）
●身長・体重／184cm・80㎏
●クラブキャリア（成績は国内リーグのみ）
2007：コリチーバ（BRA２部）／32試合・12得点
2008：コリチーバ（BRA） 31試合・21得点
2009：パルメイラス（BRA） ７試合・５得点
09－10：バルセロナ（SPA） ０試合・０得点
　　　　 ベンフィカ（POR）＊ ５試合・０得点
             フィオレンティーナ（ITA）＊ 10試合・２得点
2010：サントス（BRA）＊ 11試合・３得点
2011：サントス＊ ２試合・１得点
          クルゼイロ（BRA）＊ ８試合・１得点
2012：コリチーバ＊ ０試合・０得点
2013：コリチーバ＊ 10試合・１得点
2014：コリチーバ＊ 16試合・３得点
2015：コリチーバ１試合・０得点
2016：ロンドリーナ（BRA２部） 27試合・７得点
16－17：アロウカ（POR） ２試合・０得点
2017：コリチーバ５試合・０得点
2018：ロンドリーナ（BRA２部）＊ ３試合・０得点
2020：パームビーチ（USAアマチュア） ０試合・０得点
※情報やデータは2022年３月11日現在　＊＝レンタル移籍

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