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【消えた逸材】15歳でセリエAデビューを飾って「ストイチコフの再来」と騒がれた男の“今”を追う

カテゴリ:連載・コラム

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2021年02月12日

セリエAの外国人最年少デビュー記録を更新

デビュー4年目でレッチェからフィオレンティーナに引き抜かれたボジノフ。その後も偉大なキャリアを築くはずだったが……。(C)Getty Images

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ヴァレリ・ボジノフ(FW/元ブルガリア代表)
■生年月日/1986年2月15日
■身長・体重/179cm・78kg


 15歳11か月でプロのピッチに立った。13歳から所属するレッチェでのそのデビューは、セリエAの外国人選手最年少記録を塗り替えるものだった。

 2年目は15試合・2得点、3年目は28試合・3得点と、ブルガリア出身の若きストライカーは確かな成長曲線を描き、4年目の2004-05シーズンに大きな飛躍を遂げる。開幕から20試合で11ゴールを量産すると、フィオレンティーナとの交渉がまとまり、冬の市場でステップアップの移籍を果たす。18歳でのブレイクだった。

 強靭なフィジカルに高度なテクニックを併せ持ち、左右両足から放つシュートはパワフルでヘディングも強い。さらに機動力がありパスセンスが非凡で、前線から中盤に下がってビルドアップに手を貸せば、巧みなアシストも決める。

 自信と確信に満ち溢れ、先頭に立ってチームを引っ張るパーソナリティーも申し分ない。ヴァレリ・ボジノフが特別なタレントであることは、誰の目にも明らかだった。

 母国ブルガリアでは「英雄フリスト・ストイチコフの再来」と期待され、セリエAに現われた「新たなウェイン・ルーニー」とも称賛された。

 無限の未来が広がっている、はずだった。しかし、明るい未来はやって来なかった。
 
 フィオレンティーナでは満足なパフォーマンスを見せられず、2年目が終わるとユベントスへのレンタルが決まる。いまと違って当時のユーベは、いわゆるカルチョポリ(審判買収などの不正スキャンダル)の制裁でセリエBに落とされ、混乱の只中にあった。

 そのユーベでも苦戦を続け、翌シーズンはマンチェスター・シティへ。当時のシティもいまとは違い、アブダビ資本になる前の、決して強豪とは言えないチームだった。

 シティでは、試練が待ち構えていた。膝靭帯にアキレス腱の断裂と大きな怪我を繰り返し、ピッチに立つことすらままならなかった。在籍2年間でわずか11試合の出場、たったの1ゴールに終わり、パルマへと放出された。

 イタリアに戻って最初のシーズンは30試合で8ゴールと復活の兆しを見せるも、2年目は控えに降格し、シーズン終了後にはまたしても放出の憂き目に。それでもスポルティングが獲得の手を挙げ、5年間という長期契約を結んでポルトガルに渡ったのが11年。25歳の夏だった。
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