もっともその才能を高く評価しているからこそ、シャビのペドリに対する要求度は高い。求めているのは、攻撃の中心となる働きだ。

　バルサは長年、すべての攻撃はリオネル・メッシを経由するという状況が続いた。とりわけ昨シーズンは、ロナルド・クーマン監督が考案した戦術オプションが限られ、その傾向が顕著だった。しかし、そのメッシはもういない。そんな中、シャビが新たな攻撃の牽引役に指名したのがペドリだったのだ。
 

　シャビがペドリに求めるタスクの内容は多岐に渡るが、「強いシュートを蹴る。FKキッカーとしても優秀だ。もっとトライしていい」と話すように、中でも強く要求しているのがシュートへの積極性だ。

　もともとペドリはゴールネットとの親和性の高い選手だった。しかし昨シーズンは４得点にとどまり、いつしか得点力に欠ける選手というイメージが先行し、当然そうした雑音は本人の耳にも入っている。シャビの要求はそんなペドリにとっても望むところであり、その意気込みを示すように、バレンシア戦までの７試合で２得点をマーク。そして指揮官はバレンシア戦後に、「彼のポジションでは世界最高の選手だ。まだ19歳だよ。彼以上の才能を持った選手は世界中にいない」と最大級の賛辞を贈った。

　シャビが就任以来、植え付けようとしているサッカーは、ペドリが好み、実現を望んでいるスタイルだ。ペドリは２人の関係性について問われると「サッカーの理解の仕方が僕と同じだ」と大胆に明言している。それもそうだろう。シャビ自身がペドリをかつての自分に重ね合わせて見ているのだから。

文●ジョルディ・キシャーノ（エル・パイス紙バルサ番）
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

【PHOTO】Ｃ・ロナウド、アグエロ、ベンゼマ、イブラ、ポグバetc…世界的名手たちが誇るスーパーカーを厳選＆一挙紹介！