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「イニエスタと同じターンができる」バルサ出身ではないペドリが、なぜ独特のサッカーにすぐフィットできたのか【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2021年05月22日

「どんな難しい局面でのプレーであっても事も無げにこなしてしまう」

ペドリはいかにしてそのテクニックを磨いたのか。(C) Getty Images

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 ペドリことペドロ・ゴンサレス・ロペスは、今シーズンからバルセロナでプレーしている。もっとも、印象としては今なおテネリフェで暮らしているようでもある。ホルヘ・バルダーノは、リオネル・メッシについて居を構えるカステイダフェルスで起床し、シウタ・エスポルティバ・ジョアン・ガンペールで練習し、カンプ・ノウでプレーし、故郷のロサリオで就寝していると表現している。

 アンドレス・イニエスタは、時間が許せばフエンテアルビージャに帰郷し、学校の運動場に立っている木を周回している。それはバルセロナで活躍するようになっても、そして今日本のJリーグでプレーするようになっても変わってはいない。

 そのイニエスタとの類似性を指摘され、メッシとボールを共有する印象を事あるごとに質問されるペドリだが、そのたびに「僕は僕。ペドリのままだ」と答えている。

 3人のプレーに共通するのは、ストリートの香りを漂わせていること。現代サッカーは画一性、メジャーで測定し等間隔にコーンを配置して行う練習、最新のコンピューターによる統計データ分析といったものがことさら重要視されている。しかし彼らのプレーにはストリートとアカデミー、プレーとメソッド、型にはまらず育てられた幼少期と環境整備の行き届いた育成年代など相反する要素が程よく混ざり合っている。

 そんなペドリを発掘したのが、リズムやパウサ(タメ)を重視した丁寧で美しいサッカーが風土として定着しているラス・パルマス(現在は2部に所属)のスカウト兼育成部門のディレクター、マヌエル・ロドリゲス・マレロだったのは決して偶然ではないだろう。トノノという愛称を持つ彼は、ペドリのプレーを一目見た瞬間、心を奪われたと振り返る。

「プレーを見るたびに、新たな嬉しい発見があった。やっぱり選手は生で見るに限る。そう思わせてくれる選手だ」

【動画】ペドリってどんな選手? 厳選プレー集はこちら
 ペドリはテネリフェ島のテゲステという小さな町の出身だ。サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナに周辺を囲まれ、直接海岸には面していないが、舩のパレードが有名で、ルチャ・カナリア(カナリア相撲)の発祥の地としても知られる。風光明媚で気候も快適。人々は素朴で親切だ。散歩した後、赤ワインを飲むには最適な街で、そこにペドリの家族が経営するレストランもある。

「島には今もストリートや広場、ビーチでボールを蹴る子供たちがいる。劣悪なコンディションでもお構いなしだ。そうやってパウサを活用する感覚やイマジネーションが養われていくんだ。マニュアルでがんじがらめにするよりもずっとためになる」

 そう力説するトノノが、15歳になるまでペドリをテゲステに住まわせ続けたのはれっきとした理由があったわけだ。さらにこう続ける。

「ペドリの良さを知るには、集中して直接自分の目でプレーを追い続けなければならない。事前に情報を収集する必要はない。彼の才気溢れるプレーがそのまま雄弁に語ってくれる」

 さらにトノノはペドリを起点として育成に関する持論を展開する。「オープンスペースでプレーしたほうが活きる。自由と幸せを感じる環境と言い換えてもいい。そうやって自分の居場所を見出し、状況に応じたプレーを見せるようになる。見て覚えて物事を吸収させるには、個性を尊重することも大切だ。サッカーをロボット化することはできない。知識を増やすことはもちろん必要だが、その際にエモーショナルな部分やストリートで養った能力を忘れさせてはいけない。ペドリにとってもそれが学びの場だったんだからね」

 その際に重要なのは創造力を育むことだという。逆説的な具体例としてコーンドリブルの練習を挙げる。「果たしてどうやってドリブルでコーンをかわすのだろう。わたしが教えてもらいたいくらいだ。ドリブルは相手を騙すプレーだ。でもコーンは考えることをしない。その意味で、ペドリのサッカーはとても自然体でシンプルだ。だからどんな難しい局面でのプレーであっても事も無げにこなしてしまう」
 
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