「僕も自分を否定し続けた」鈴木武蔵が打ち明けた過去と、新潟明訓の選手たちに響いた「自己肯定」の大切さ

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2021年05月12日

新潟でキャリアをスタートさせた日本代表FWが、新潟明訓高サッカー部でオンライン講演会を行なう。

鈴木武蔵が新潟明訓高サッカー部でオンライン講演会を行なった時の様子。

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 全員が喉から手が出るほど欲しかった勝点3。それがついに手の中に収まった。

 プリンスリーグ北信越5節の新潟明訓vs北越の『新潟ダービー』で、これまで1分け3敗と勝ちなしの新潟明訓は、1-0でライバルを下して、リーグ初勝利を手にした。

 この歓喜の前に、チームは長く続く低迷からの浮上のきっかけとするべく、日本代表ストライカーから大きな檄を受けていた。インターハイ予選のシードが決まる新潟高校春季地区体育大会を2日前に控えた5月3日、新潟明訓高サッカー部全員が参加する形で、ベルギー1部ベールスホットでプレーする現役日本代表FW鈴木武蔵のオンライン講演会が行なわれたのだった。

「開幕戦こそ星稜に引き分けましたが、そこから富山第一、帝京長岡に立て続けに0-3で負けるなど、選手たちも自信をなくしかけていました。決して今年のチームは力がないわけじゃないので、なんとかして全員でもう一度同じ方向を向いて戦う機運を作りたかった」と就任2年目の坂本和也監督が語ったように、経験豊富な日本を代表するプロサッカー選手の生の声で選手たちに刺激を与えたいという指揮官の思いが、鈴木がプロのキャリアを新潟でスタートさせた縁とつながり、この講演会が実現した。
 
 2時間に渡る講演の中、選手たちは全員真剣な表情で話を聞くだけではなく、多くの選手が質問をぶつけた。鈴木が3月に出版した自伝『ムサシと武蔵』(徳間書店)を読んで、差別や偏見などについての質問をする選手もいれば、勝利を手にできない苦しいチーム状況を素直に口にして打開策を探ろうと質問をする選手もいた。

「選手たちが積極的に鈴木選手に質問をする姿を見て、『僕も頑張らないといけない』と思わされました。意見がきちんと言えて、チームのことを真剣に考えてくれている姿勢から僕も学ぶことが多かった」(坂本監督)

 その成果はすぐに出た。地区大会で新潟明訓は決勝まで駒を進め、決勝では日本文理に1−2で敗れたが、シード権獲得には成功。そして、4連戦から中1日という状況下でプリンスリーグ北信越の北越戦を迎える。疲労は蓄積していたが、選手たちが見せたのは凄まじい勝利への執念だった。
 
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