グアルディオラの発想とふたりだけのミーティングが…
ピッチの反対側、メッシがボアテングをあっさりとかわす光景を、グアルディオラはベンチの前に立って眺めていた。
右足でふわりと浮かしたボールは、ノイアーが伸ばした手を越えてネットを揺らす。うつむいてベンチへ戻る指揮官。アップしていたバルサの選手たちが、喜ぶルイス・エンリケを目指して、その前を走り抜けていった。
メッシを止めることは不可能だと考えていた。
「あの才能は止められない。できるのはプレー機会を減らすことだけ」
試合前日にグアルディオラはそう語っている。メッシを誰よりもよく知る監督だ。2008年のバルサ監督就任以降、その手でメッシを育て上げてきた。どんな試合でも先発フル出場させ、交代させることすらなかった。
「バルサが勝てているのは私の功績ではない。メッシがいるからだ」
自身が称賛された時も、とにかくエースの存在を強調した。
パスワークはグアルディオラの哲学だ。ポゼッションも愛している。しかし、最後に勝たせてくれるのは、メッシの個人能力でしかない――。彼には確固たる考えがあった。色とりどりのアイデアが散りばめられたその頭脳の片隅には、いつだってメッシがいた。
こんなことがあった。09年の初夏の夜、自宅にいたメッシの携帯が鳴った。
「レオ、すぐに私のオフィスに来るんだ」
驚いたメッシは、すぐに練習場へと向かった。
そこでグアルディオラは教え子にある提案をする。それはポジション変更だった。右サイドから中央へ――。ふたりはボードを見ながら長い時間話し合った。メッシが初めて「偽9番」としてプレーしたクラシコ前夜のことである。
やがてメッシの得点は倍増した。グアルディオラの発想と、ふたりだけのミーティングがなければ、メッシは現在の地位にはいないだろう。
右足でふわりと浮かしたボールは、ノイアーが伸ばした手を越えてネットを揺らす。うつむいてベンチへ戻る指揮官。アップしていたバルサの選手たちが、喜ぶルイス・エンリケを目指して、その前を走り抜けていった。
メッシを止めることは不可能だと考えていた。
「あの才能は止められない。できるのはプレー機会を減らすことだけ」
試合前日にグアルディオラはそう語っている。メッシを誰よりもよく知る監督だ。2008年のバルサ監督就任以降、その手でメッシを育て上げてきた。どんな試合でも先発フル出場させ、交代させることすらなかった。
「バルサが勝てているのは私の功績ではない。メッシがいるからだ」
自身が称賛された時も、とにかくエースの存在を強調した。
パスワークはグアルディオラの哲学だ。ポゼッションも愛している。しかし、最後に勝たせてくれるのは、メッシの個人能力でしかない――。彼には確固たる考えがあった。色とりどりのアイデアが散りばめられたその頭脳の片隅には、いつだってメッシがいた。
こんなことがあった。09年の初夏の夜、自宅にいたメッシの携帯が鳴った。
「レオ、すぐに私のオフィスに来るんだ」
驚いたメッシは、すぐに練習場へと向かった。
そこでグアルディオラは教え子にある提案をする。それはポジション変更だった。右サイドから中央へ――。ふたりはボードを見ながら長い時間話し合った。メッシが初めて「偽9番」としてプレーしたクラシコ前夜のことである。
やがてメッシの得点は倍増した。グアルディオラの発想と、ふたりだけのミーティングがなければ、メッシは現在の地位にはいないだろう。