変幻自在のペップ采配を称える声も。
ペップ・グアルディオラの凱旋試合としても注目を集めたバルサ対バイエルン。試合に集中するためにも、キックオフ前にサッカーとは関係のない演出を用意せず、各自がそれぞれ感謝の気持ちを示せばいいと『ムンド・デポルティーボ』紙のジョセップ・マリア・アルテユス記者が書いていたように、カンプ・ノウのファンは無関心とも言える静けさでクラブ史に残る英雄の帰還を見守った。
ロッベン、リベリをはじめ主力の多くを欠いたペップが、どんな戦術を用意してくるのか。とりわけ、どんなメッシ対策を講じるかがポイントだったが、3バック&マンツーマンで試合をスタートし、それが機能しないと見るや開始15分ほどで4バックに変更。そして後半開始と同時にDFラインを押し上げて攻撃的な姿勢を強めたりするなど、ペップは変幻自在の采配で古巣を苦しめた。
今シーズン、ここまで巧みにバルサの持ち味を封殺した敵将はなかったと、『エル・パイス』紙のラモン・ベサ記者は改めてその卓越した手腕を称賛している。
バルサもアグレッシブなプレーで対抗し、息をもつかせない熱戦がピッチの上で繰り広げられた。バルサは前半にスアレスとD・アウベスが決定的なチャンスを掴んだが、スペイン国内でも世界ナンバーワンの定評が確立した感のあるGKノイアーが最後の砦として立ちはだかった。
親友同士でもあるペップとL・エンリケ両監督によるチェスさながらの駆け引きの均衡を破ったのが、メッシの個人技だったのは示唆的だった。複数のメディアで健筆を振るう名物記者のエミリオ・ペレス・デ・ロサスと前述のラモン・ベサ記者は、決定的な違いを作り出したメッシの活躍は、戦術や采配を超越するのが卓越した個の力だというサッカーの真理を証明するものだと口を揃えた。奇しくも試合前日の記者会見で、「メッシを止める術はない」と語っていたグアルディラオの言葉通りもになった格好だ。
そんなメッシの天才性をマルティ・ペラルナウ記者は、かつてのNBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンのニックネームに引っ掛けて「エア・メッシ」と表現。未知の領域へと飛翔し続けていると感嘆した。
得点こそなかったものの、スアレスの献身も光った。空中戦でも地上戦でも身体を張り、足下にパスを収めれば、裏のスペースを突く。元アルゼンチン代表の論客ディエゴ・ラトーレは先日『エル・パイス』紙のコラムで、スマートなバルサに野性味という異質のエッセンスをもたらしたスアレスの貢献を特筆していたが、それを実証するかのような活躍ぶりだった。
この勝利でいわば評価を一変させたのがL・エンリケ監督だ。メッシとは口も利かない状態で、統率力が疑問視されていたが、ラモン・ベサ記者は、開幕以来ピッチ内外で問題山積だったチームがここまでこられたのは、妥協を許さない指揮官の姿勢があったからこそだと称揚。シーズン終盤に合わせてコンディションをピークに持ってきたマネジメントも含め、その手腕を称える声が増えている。
敵地での第2レグ(5月12日)を残しているとはいえ、3-0の大勝に、「これで決勝進出は決まったも同然。優勝候補の最右翼に躍り出た」とメディアにも楽観論が広がる。
普段は慎重なクレ(バルサファンの呼称)も、すでにレアル・マドリーとの決勝を待望している。
構成・文:下村正幸
ロッベン、リベリをはじめ主力の多くを欠いたペップが、どんな戦術を用意してくるのか。とりわけ、どんなメッシ対策を講じるかがポイントだったが、3バック&マンツーマンで試合をスタートし、それが機能しないと見るや開始15分ほどで4バックに変更。そして後半開始と同時にDFラインを押し上げて攻撃的な姿勢を強めたりするなど、ペップは変幻自在の采配で古巣を苦しめた。
今シーズン、ここまで巧みにバルサの持ち味を封殺した敵将はなかったと、『エル・パイス』紙のラモン・ベサ記者は改めてその卓越した手腕を称賛している。
バルサもアグレッシブなプレーで対抗し、息をもつかせない熱戦がピッチの上で繰り広げられた。バルサは前半にスアレスとD・アウベスが決定的なチャンスを掴んだが、スペイン国内でも世界ナンバーワンの定評が確立した感のあるGKノイアーが最後の砦として立ちはだかった。
親友同士でもあるペップとL・エンリケ両監督によるチェスさながらの駆け引きの均衡を破ったのが、メッシの個人技だったのは示唆的だった。複数のメディアで健筆を振るう名物記者のエミリオ・ペレス・デ・ロサスと前述のラモン・ベサ記者は、決定的な違いを作り出したメッシの活躍は、戦術や采配を超越するのが卓越した個の力だというサッカーの真理を証明するものだと口を揃えた。奇しくも試合前日の記者会見で、「メッシを止める術はない」と語っていたグアルディラオの言葉通りもになった格好だ。
そんなメッシの天才性をマルティ・ペラルナウ記者は、かつてのNBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンのニックネームに引っ掛けて「エア・メッシ」と表現。未知の領域へと飛翔し続けていると感嘆した。
得点こそなかったものの、スアレスの献身も光った。空中戦でも地上戦でも身体を張り、足下にパスを収めれば、裏のスペースを突く。元アルゼンチン代表の論客ディエゴ・ラトーレは先日『エル・パイス』紙のコラムで、スマートなバルサに野性味という異質のエッセンスをもたらしたスアレスの貢献を特筆していたが、それを実証するかのような活躍ぶりだった。
この勝利でいわば評価を一変させたのがL・エンリケ監督だ。メッシとは口も利かない状態で、統率力が疑問視されていたが、ラモン・ベサ記者は、開幕以来ピッチ内外で問題山積だったチームがここまでこられたのは、妥協を許さない指揮官の姿勢があったからこそだと称揚。シーズン終盤に合わせてコンディションをピークに持ってきたマネジメントも含め、その手腕を称える声が増えている。
敵地での第2レグ(5月12日)を残しているとはいえ、3-0の大勝に、「これで決勝進出は決まったも同然。優勝候補の最右翼に躍り出た」とメディアにも楽観論が広がる。
普段は慎重なクレ(バルサファンの呼称)も、すでにレアル・マドリーとの決勝を待望している。
構成・文:下村正幸