ドゥンガ新体制で8戦全勝! ブラジル代表は完全復活を遂げたのか?

カテゴリ:ワールド

沢田啓明

2015年04月02日

ネイマールにリーダーの資質を見出した慧眼。

指揮官ドゥンガ&主将ネイマールの新体制で、セレソンは強化への正しい道を進んでいる。 (C) Getty Images

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 ワールドカップが終わって新チームが発足した直後、通常、メディアと国民はすぐには結果を求めないものだ。しかし、昨年夏のブラジルの場合は事情が全く異なっていた。
 
 自国開催のW杯で国民の期待を裏切り、世界的な威信も失墜したセレソンにとって、ドゥンガ新監督に求められたのは「とにかく勝つこと」だった。しかも、2010年のW杯でセレソンを率いてベスト8に終わった監督自身への不信感もあり、結果を出せなければ早々に解任論が噴出するのは間違いなかった。
 
 このような状況で、闘将は模範回答を出した。コロンビア(1-0)、エクアドル(1-0)、アルゼンチン(2-0)、日本(4-0)、トルコ(4-0)、オーストリア(2-1)、フランス(3-1)、チリ(1-0)と中堅国ないしはそれ以上のレベルの国と対戦して、8戦全勝(総得点18・総失点2)。
 
 これは、W杯を1-10(ドイツとの準決勝が1-7、オランダとの3位決定戦が0-3)で終えて憤懣やる方なかった国内メディアと国民にとっても予想を上回る結果であり、当面、ドゥンガを批判する声はどこからも聞こえてこない。すぐにでも出てくるはずだったネガティブな声を、結果を出すことで完全に封じている。
 
 もちろん、現在、他国はチーム作りの初期段階にある。セレソンにしても、すでにW杯の時とはレギュラーが大幅に入れ替わり、今後もさらに変わるはず。それでも、これまでのところ、強化への正しい道を歩んでいるのは間違いなさそうだ。そう考える理由を、列挙してみよう。
 
【ポイント1】
ネイマールを主将に指名してチームを活性化
 
 W杯で主将を務めたチアゴ・シウバには、いくつかの不可解な行動があった。決勝トーナメント1回戦のチリ戦で、PK戦となった際、キッカーになることを拒否し、チーメイトから離れて1人で涙を流しながら神に祈っていた。準々決勝コロンビア戦では、終盤に全く意味のない反則でイエローカードをもらい、累積警告で準決勝に出場できなくなって結果的にチームの首を絞めた。
 
 ドゥンガは、監督に就任するとこのT・シウバからキャプテンマークを剥奪し、さらにレギュラーですらない“平選手”に格下げ。そして、チームの末っ子的存在だったネイマールをキャプテンに指名するという“荒療治”を敢行したのだ。
 
 結果的に、この采配がズバリと当たる。ネイマールは、「10番」を背負うことに加えて主将となったことで中心選手としての自覚が芽生え、さらには人間的にも成長。若きリーダーとしてチームに明るい雰囲気と躍動感をもたらす一方で、自身も調子の波がなくなり、すべての試合で攻撃を牽引する姿勢を貫いている。
 
 一見、軽そうに見える(また、実際に軽い)ネイマールにリーダーの資質を見出したドゥンガの慧眼には驚くばかり。それと同時に、“二段階降格処分”を受けたT・シウバの不満を内部で押さえ込むチームマネジメントの巧さも見逃せない。
 
【ポイント2】
守備からチームを再構築
 
 W杯で崩壊した守備の再建から着手したドゥンガは、T・シウバが故障で欠場した機会を“利用”して、アトレティコ・マドリーで絶好調のミランダをCBのレギュラーに抜擢。ダビド・ルイスとのコンビを確立させた。
 
 また、ダニエウ・アウベス、マルセロのように闇雲に攻め上がるサイドバックを嫌い、右にダニーロ、左にフィリペ・ルイスを起用。2人は守備に重心を置きつつ、タイミングを得た攻撃参加で指揮官の信頼を勝ち取っている。
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