川崎連覇への転機――14節の柏戦に勝った意味と鬼木監督のマネジメント力

カテゴリ:高校・ユース・その他

江藤高志

2018年11月11日

常に優勝を意識させ、首位に立つことを当たり前に思う環境を作った

14節の柏戦。決勝点の鈴木を労う鬼木監督。写真:徳原隆元

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 川崎フロンターレが連覇を達成した。いわゆるオリジナル10以外では初めての快挙となる。後発組としてJリーグに参入し、人気クラブへと成長したその過程は、他チームのモデルケースとなりうるものだろう。
 
 偉業を成し遂げた鬼木達監督は就任2年目の今季、選手たちにプレッシャーを掛け続けてきたという。
「なんとなく優勝を目指すのではなく、今年は自分たちで連覇をしようということをずっと言い続けてきた」
 
 そんな鬼木監督のスタンスがよく分かる試合が28節の長崎戦だった。勝点3差で先行する広島が試合前に敗れており、勝てば得失点差で首位に立てる状況にあった。この試合前、鬼木監督はあえて選手たちにプレッシャーを掛けていた。
 
「(優勝を意識させる)自分の言葉がそういう(優勝する)方向にいくんだって信じて、しゃべるのが大事」だと考え、あえて他会場の結果を伝えた。すべては優勝のため。なんとなく首位になっているのではなく、首位を取りに行くということ。意識して首位を狙いに行く姿勢から「逃げちゃいけない」と考えたという。もちろん「首位に立った時はプレッシャーも感じるだろうけど、そういうものも受け入れながらやろうと、それはしっかり伝えました」と振り返る。
 
 常に優勝を意識させ、首位に立つことを当たり前に思う環境を作る。そうすることで、首位に立つことが当たり前なのだというメンタリティは作られていった。
 
 戦術面では、昨季の原則が継続されている。球際の激しさや切り替えの速さ、戦うメンタルをチームに求めた。もともと質の高さを持っていたチームはこの考えを吸収して強さを発揮した。また川崎にキャッチアップしようとする他チームの追撃を前提に、攻撃、守備のそれぞれで一回り大きくなることを目標に設定。つまり「ふたまわりくらいはレベルを上げたい」とシーズンを前にして話していた。
 
 その結果、守備については32節終了時点で26失点と昨季の34試合終了時点の32失点を更新するペースを維持。昨季34試合で71得点を上げた得点力が、今季は32試合終了時点で53点と大きく低下しているが、この不足分を堅守が補っている形だ。
 
 攻守については、川崎ではパッケージで語られることが多い。と言っても難しい話ではなく、いい守備があっての攻撃だとの普遍的な原則だ。ただし守備においては「これをやらないと出られないというひとつの基準といいますか、規律という表現を時折使いますが、それをやらないと」試合には出られないというルールがあり「そういうところを全員が意識しているからこそ、自然に守備の意識が高まってきてる」のだという。
 
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