日本サッカーに寄り添い続けた28年──ゲルト・エンゲルスの“源流”と手に入れた“最高の栄誉”

カテゴリ:特集

高村美砂

2018年02月20日

この賞は決して有名なコーチを讃えるものではありません

今季からJ1神戸のヘッドコーチに就任したエンゲルス氏。多忙を極めるが、東北での子どもたちとの触れ合いは続けていきたいと話す。

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 今から約2か月前のとある日。ゲルト・エンゲルス氏の元に母国ドイツの『ドイツフットボールアンバサダー』から、嬉しい一報が届いた。電話の主である同スタッフは、氏に告げたと言う。
 
「おめでとう。君がドイツフットボールアンバサダー2018監督部門の最優秀監督賞にノミネートされたよ」
 
『ドイツフットボールアンバサダー』とは、海外の地でフットボールを通して社会的に素晴らしい貢献・活動をしているドイツ人に贈られる名誉で、海外で活躍する100人以上のドイツ人コーチの中から3名がノミネートされ、5月にそのうちのひとりが最優秀監督賞に選ばれる。
 
 2月13日にはそのノミネートを祝福する授賞記者会見がノエビアスタジアムで行なわれ、ドイツフットボールアンバサダーの創立者であるローランド・ビジョフ氏が駆けつけたが、その中でビジョフ氏は、エンゲルス氏のノミネート理由をこんな風に説明した。
 
「最終的には選ばれた審査員と、いろんなジャンルの著名な方の審査により5月に最優秀監督賞が決定しますが、世界で活躍するドイツ人コーチは本当に数多くいる中で、ゲルト氏が3人のうちのひとりにノミネートされただけでも称えられるべきことだと考えています。過去にはユルゲン・クリンスマン氏も授賞していますが、この賞は決して有名なコーチを讃えるものではありません。社会的に素晴らしい貢献・活動をし、大きな仕事を成し遂げた方に贈られるものです。
 
 ご存知のようにゲルト氏は非常に長い間、日本に住まれています。日本での運転時間のほうがドイツのそれより長いのではないかと思います。その中で氏がピッチでの仕事に限らず、フットボールとどのように生きてきたのか、関わってきたのか、が評価のポイントのひとつでした。この賞はチャリティープロジェクトとも関係しているため、ゲルト氏にはチャリティー活動に利用できる賞金を贈呈します」
 
 それに対し、エンゲルス氏もまた、授賞の喜びを言葉に変えるとともに、1990年に来日してからの時間を振り返った。
 
「海外でたくさんのドイツ人が仕事をしている中で3人のひとりに選ばれたことを非常に嬉しく、誇りに感じています。たとえ、最優秀監督賞に選ばれなくても、このノミネートをとても名誉に感じています。ありがとうございます。27年前に初めて来日した際、僕はまず子どもたちにサッカーを教えました。その時は子どもたちが野球の帽子をかぶってサッカーをしていることに驚かされたものです。週末になるとドイツにいた時のようにサッカーの試合を家でテレビ観戦しようとしましたが、当時の日本では10分ほどのハイライト番組しかありませんでした。そこから今日まで、日本のサッカー界はすごく成長しました。
 
 ただ、その発展のためにはもう少し日本のサッカー界は下部組織における若い世代の育成に熱を注ぐべきではないか、という考えもあります。下部組織で育てた選手をトップチームに昇格させるだけではなく、彼らにもっとチャンスを与えてほしい。選手というのは練習だけで強くなることは決してなく、練習をして、公式戦を戦ってこそ強くなる。そこは日本のサッカー界がより発展するために、考えていくべきところだと思います」

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