【セルジオ越後】ビデオ判定の導入は主審のレベル低下につながりかねない

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェスト編集部

2016年12月17日

主審以上に決定権を持った人間が増えたとも言えるよ。

映像の再検証で正しい判定が下されるかもしれない。ただ、それによって主審の責任が薄れる懸念もある。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 今年のクラブワールドカップでは、FIFA主催の国際大会としては、初めてVARs(ビデオアシスタントレフェリー)が導入されて、実際にそのVARsによってPKの判定が下されたね。
 
 サッカーの歴史上において初めてのことが起きたのは、アントラーズとナシオナルの準決勝だった。
 
 前半も30分に差し掛かろうとした時、アントラーズのセットプレーでボールがゴール前に供給されると、西がペナルティエリア内で相手DFに倒された。これはそのまま流されたけど、数分後、VARsが主審と連絡を取って試合が一時中断される。
 
 主審はバックスタンド側にあるモニターで映像を確認。件の接触がファウルであったとジャッジして、アントラーズ側にPKを与えた。これを土居がきっちりと決めて、アントラーズが先制することに成功したというわけだ。
 
 最終的な判断を下したのは、主審であるのは間違いない。でも、その主審はVARsの指示によって、ゲームを止めたんだよね。考えようによっては、主審以上に決定権を持った人間が増えたとも言えるよ。
 
 こうなってくると、主審の責任が薄れていく懸念が出てくる。疑わしいけど、自信がないから笛を吹かない。もしその判断が間違っていても、後でVARsが再検証してくれる――。
 
 これが日常化すれば、主審のレベルは落ちていくんじゃないかな。その程度の責任しか問われないのなら、ハッキリ言って、僕でもできるよ。ビデオ判定に委ねるということは、問題のシーンを見逃しているわけだ。それなら誰がやっても一緒。あの人は国際審判員だからとか、そういったステータスも意味がなくなるよね。
 
 いろんなメディアでビデオ判定について議論されているようだけど、主審や副審にぜひインタビューしてほしいね。この制度は本当に役に立つのか、ひとつでも誤審がなくなる助けになるのか、そしてあなたたちのプライドは傷つかないのか、とね。

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