【蹴球日本を考える】レベル差は明白。南米王者を相手に大敗もあり得た鹿島の勝因とは?

カテゴリ:国際大会

熊崎敬

2016年12月15日

予想以上の攻撃力を持っていたナシオナルが予想以上に…。

ボルハやベッリオなど抜群の破壊力を持つFWと対峙した昌子(3番)。試合後は大量失点も覚悟したことを打ち明けている。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 鹿島が大金星を挙げた準決勝を、CB昌子の言葉から振り返ってみたい。
 
「0-5になってもおかしくないと思った」
 
 猛攻にさらされた前半の心境を、彼はこう明かした。
「もう必死で、どこが危ないのかも分からない。とにかく弾くぞ、クリアするぞというだけでした」
 
 私も4、5点差はつくかな、と思っていた。レベルの違いが明らかだったからだ。
 
 例えばポストプレー。
 
 私はJリーグを見る時、クサビのパスをFWが収めて味方につなげば、それで成功したと考える。
 
 だが、ナシオナルの面々は違った。CFボルハや右FWベッリオあたりは収めて当たり前。その上で大胆に抜きにかかる。
 しっかりと腰を落として、足もとにボールを置く。背後のDFが身体をぶつけてくると、その力を利用して巧みに身体を入れ替え、前を向く。敵がボールを掻き出そうと足を出すと、今度は開いた股を抜きにかかる。
 ポストはポストでも、やっていることがまったく違うのだ。
 
 石井監督も語っていたが、ナシオナルの攻撃力は予想以上だった。
 だが、もうひとつ予想以上だったことがある。それはナシオナルのペースダウンだ。
 
 ふたたび昌子の言葉。
「ナシオナルは長距離移動の疲れもあるし、時差もある。だから落ちてくると思っていましたが、思った以上に動きが落ちたんです。それに僕らも、前半で向こうの動きに慣れましたしね」
 
 人間は良くも悪くも慣れる生き物。猛攻に晒された前半で、鹿島はある程度、ナシオナルの速さ、強さ、上手さに慣れた。しかも後半になり、疲れと焦りが出たことでナシオナルの動きが明らかに落ちた。
  鹿島がナシオナルの自滅に乗じ、勝利を手繰り寄せたことは間違いない。
 
 もちろんビデオ判定で生まれた先制点も、試合の流れを大きく左右した。
 これについて、昌子はこう語っている。
「試合が止まった時、レフェリーが何を話しているのか分からなかった。モニターを見ている時は、自分のヘディングのクリアがラインを割っていたのかなあと」
 
 先制した後は、自分たちにもビデオ判定が降りかかるのではないかと思い、慎重に慎重を期してプレーしたそうだ。
 
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