思い出深い一戦と苦しかったゲームは
2009年から15年所属した川崎でも常に出場を続けられたわけではない。それでもその時々で、自分には、チームには何が必要かを考え、川崎が築いた黄金時代にピッチ内外で大きく貢献してきた。そんな登里享平が史上145人目として達成したJ1通算300試合出場。左膝に怪我を抱えながら歩き続ける彼の挑戦を改めて追ってみた。
(第3回/全3回)
――◆――◆――
300試合出場を積み重ねてきた登里享平にとって、忘れられないゲームがある。
「やっぱり1番嬉しかったのは川崎での1年目のプロデビュー戦ですね。2009年の6月でしたよね。そうそう、大分戦(86分に山岸智との交代で途中出場)。大分にはキヨくん(清武弘嗣)らもいたはずです。やっぱりあの時の気持ちって、忘れないでおこうって常に考えていますね。僕は試合に出られるのが当たり前な選手ではないので、ピッチに立てる喜びは常に大事にしたいんです。
(プロ初出場はリーグで2度目となる)ベンチ入りで、試合展開的にも残り数分での出場でしたけど、起用してもらえた。そこで一歩目を踏み出せた感覚がありましたし、少しの時間でしたが、自信になりました」
一方で悔しき経験もあった。
「悔しい試合って言ったら、ベタに負けた試合が浮かびますが、川崎で優勝を逃してきたゲームは特に絶望感が蘇りますね。
中でも一番苦しかったのは2017年の、それこそセレッソとのルヴァンカップ決勝。(川崎がシルバーコレクターと揶揄されていた当時)リーグでは鹿島が首位を走っていて苦しい状況で、ルヴァンカップで初タイトルのチャンスが巡ってきた。当時、セレッソに対して苦手意識もなく、でも慢心していたというわけでもなく、チームとして良いモチベーションで試合に臨めたんです。
でも結果は0-2。リーグ戦も2位でしたが、首位の鹿島と差があり、またシルバーコレクターって言われるような状況だった。だからこそ、ルヴァンカップに敗れた時はチームにはなんとも言えない絶望感が広がっていました。僕は決勝戦には出られませんでしたが、個人的にも『俺、なんも力になってないやん』って無力さに苛まれました。だからチームとしても自分としてもかなりダメージを受けていたんです。
これは今だからこそ笑い話なんですが、決勝から数日後にケンゴさん(中村憲剛)、コバくん(小林悠)と一緒にいる時に、これから頑張ろうと話していたら、あるスタッフの人が『でも鹿島は強いよ、残りの試合負けないよ』と言ってきて、こっちは無理にでも切り替えようとしているのに『水を差すな!!』って。今でも笑って振り返れるエピソードですね。
でも当時は本当に余裕がないギリギリな状況。ただメンタルはそんな感じだったんですが、何か見えない力に背中を押してもらっている感覚がありました。それで勝ち続けていたら、いけるかもっていう雰囲気が生まれた。でも2位で迎えた最終節はもう他力本願。とりあえずやろうと挑んだ先の初めてのJ1制覇でした」
(第3回/全3回)
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300試合出場を積み重ねてきた登里享平にとって、忘れられないゲームがある。
「やっぱり1番嬉しかったのは川崎での1年目のプロデビュー戦ですね。2009年の6月でしたよね。そうそう、大分戦(86分に山岸智との交代で途中出場)。大分にはキヨくん(清武弘嗣)らもいたはずです。やっぱりあの時の気持ちって、忘れないでおこうって常に考えていますね。僕は試合に出られるのが当たり前な選手ではないので、ピッチに立てる喜びは常に大事にしたいんです。
(プロ初出場はリーグで2度目となる)ベンチ入りで、試合展開的にも残り数分での出場でしたけど、起用してもらえた。そこで一歩目を踏み出せた感覚がありましたし、少しの時間でしたが、自信になりました」
一方で悔しき経験もあった。
「悔しい試合って言ったら、ベタに負けた試合が浮かびますが、川崎で優勝を逃してきたゲームは特に絶望感が蘇りますね。
中でも一番苦しかったのは2017年の、それこそセレッソとのルヴァンカップ決勝。(川崎がシルバーコレクターと揶揄されていた当時)リーグでは鹿島が首位を走っていて苦しい状況で、ルヴァンカップで初タイトルのチャンスが巡ってきた。当時、セレッソに対して苦手意識もなく、でも慢心していたというわけでもなく、チームとして良いモチベーションで試合に臨めたんです。
でも結果は0-2。リーグ戦も2位でしたが、首位の鹿島と差があり、またシルバーコレクターって言われるような状況だった。だからこそ、ルヴァンカップに敗れた時はチームにはなんとも言えない絶望感が広がっていました。僕は決勝戦には出られませんでしたが、個人的にも『俺、なんも力になってないやん』って無力さに苛まれました。だからチームとしても自分としてもかなりダメージを受けていたんです。
これは今だからこそ笑い話なんですが、決勝から数日後にケンゴさん(中村憲剛)、コバくん(小林悠)と一緒にいる時に、これから頑張ろうと話していたら、あるスタッフの人が『でも鹿島は強いよ、残りの試合負けないよ』と言ってきて、こっちは無理にでも切り替えようとしているのに『水を差すな!!』って。今でも笑って振り返れるエピソードですね。
でも当時は本当に余裕がないギリギリな状況。ただメンタルはそんな感じだったんですが、何か見えない力に背中を押してもらっている感覚がありました。それで勝ち続けていたら、いけるかもっていう雰囲気が生まれた。でも2位で迎えた最終節はもう他力本願。とりあえずやろうと挑んだ先の初めてのJ1制覇でした」
最終節で大宮に5-0で勝利した川崎は、0-0で引き分けた鹿島を最後の最後、得失点差で追い抜き、戴冠を果たす。奇跡の逆転優勝として今でも語り草になっているが、登里はこの経験をC大阪に還元することもできるだろう。
「リバウンドメンタリティじゃないですが、優勝できれば、これをやっておけば優勝できるんじゃないかっていうものが少し見えるようになってくる。結局、優勝をできないままだと何が足りないか分からないままですからね。
負けて得るモノはありますが、難しい部分もある。川崎時代、セレッソに敗れたルヴァンカップ決勝では、僕らは生半可な気持ちで戦っていなかったですが、プロの世界は結果が全て。悔しさは次へのパワーになり、その蓄積で川崎もリーグ初優勝に辿り着きましたが、やっぱり一度、リーグ優勝を経験すると、そのあとのタイトルにつながると実感しました。
だからリーグ優勝をクラブとして一度、経験することが何より大事だと思いますが、そのために大切なのはやっぱり積み重ねだと感じます。ただ、選手も難しいですよね。1年を通じてモチベーションの沈みは必ずありますし、自分もそう。やっぱり僕らは人間で、機械がやっているわけじゃないから、絶対に調子の悪い時期は来る。
そういう時に上手くごまかすと言いますか、大切なのは、自分の基準を高く設定できるかだと思います。“これでいい”と満足するのか、各々が突き抜けていきたいと考え続けるのか。各々が高い意識を持てば周囲も引き立てられ相乗効果が生まれていく。そういう環境になれるように僕は周囲に働きかけられる存在にもなっていきたいです」
「リバウンドメンタリティじゃないですが、優勝できれば、これをやっておけば優勝できるんじゃないかっていうものが少し見えるようになってくる。結局、優勝をできないままだと何が足りないか分からないままですからね。
負けて得るモノはありますが、難しい部分もある。川崎時代、セレッソに敗れたルヴァンカップ決勝では、僕らは生半可な気持ちで戦っていなかったですが、プロの世界は結果が全て。悔しさは次へのパワーになり、その蓄積で川崎もリーグ初優勝に辿り着きましたが、やっぱり一度、リーグ優勝を経験すると、そのあとのタイトルにつながると実感しました。
だからリーグ優勝をクラブとして一度、経験することが何より大事だと思いますが、そのために大切なのはやっぱり積み重ねだと感じます。ただ、選手も難しいですよね。1年を通じてモチベーションの沈みは必ずありますし、自分もそう。やっぱり僕らは人間で、機械がやっているわけじゃないから、絶対に調子の悪い時期は来る。
そういう時に上手くごまかすと言いますか、大切なのは、自分の基準を高く設定できるかだと思います。“これでいい”と満足するのか、各々が突き抜けていきたいと考え続けるのか。各々が高い意識を持てば周囲も引き立てられ相乗効果が生まれていく。そういう環境になれるように僕は周囲に働きかけられる存在にもなっていきたいです」




















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