【イタリア代表】マルキージオの離脱で「理想のペア」が崩壊。EUROの中盤はどうなる?

カテゴリ:連載・コラム

片野道郎

2016年04月21日

新機軸の3-4-3の鍵を握る存在だった。

パレルモ戦で負傷したマルキージオ(左)は痛みで顔を歪める。2度目のEURO出場は絶望に。(C)Getty Images

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 4月17日に行なわれたユベントス対パレルモ(セリエA33節)の前半16分、ドリブルするフランコ・バスケスの背後からボールを奪おうと身体を入れていったクラウディオ・マルキージオの左脚が一瞬不自然にねじれた。ピッチに倒れ込んで左膝を押さえ、右手を振って痛みを訴える姿に、誰もが深刻な事態であることに気付かざるを得なかった。
 
 すぐに病院に運ばれ、翌日MRI検査を受けた。結果は、左膝前十字靭帯損傷で全治6か月。今シーズンの残り5試合はもちろん、6月にフランスで開催されるEURO2016への出場も絶望となった。
 
 34節終了時点で2位ナポリに勝点9差をつけて首位を独走するユベントスにとっては、マルキージオを欠いてもスクデット5連覇は堅い。しかしイタリア代表にとっては、これはかなり深刻な事態である。
 
 EURO本大会に向けてチームの最終形を模索するアントニオ・コンテ監督は、最後のテスト機会となった3月の強化試合(対スペイン、ドイツ)に、これまで一度も使ったことがない3-4-3システムで臨んだ。
 
 これは、センターフォワードに人材を欠く一方で、ウイングやサイドハーフにロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)、ステファン・エル・シャーラウィ(ローマ)、アントニオ・カンドレーバ(ラツィオ)などのタレントが揃う戦力的な事情を踏まえての選択だ。
 
 3バックで最終ライン中央に厚みをつけ、その分サイドハーフを高めの位置に配するだけでなく、前線もウイングを左右に配した3トップとする3-4-3の布陣は、攻撃的なサイドプレーヤーをより多くピッチに送り出しながら、攻守のバランスを崩さずに戦うことが可能になる。
 
 ただしこの布陣では、中盤センターに入る2枚のMFに攻守両局面で大きな負担がかかる。
 
 守備では敵の中盤ラインを自由にプレーさせないためのアグレッシブなプレッシングと最終ラインの前をプロテクトするフィルター機能。攻撃では、最終ラインからパスを引き出してのビルドアップ&ゲームメークと前線にタイミング良く顔を出して崩しとフィニッシュに絡む攻め上がり。同じMFでも異なる資質と特徴が求められる、ある意味で矛盾するタスクを両立させなければならない。
 
 マルキージオは、ここに挙げたすべてのタスクを高いレベルでこなすことができる、テクニックと運動量、戦術眼とアグレッシブネスを兼備したユニバーサルなMFであり、コンテ監督にとっては構想上、おそらく3-4-3の鍵を握るプレーヤーだった。
 
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