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ようやく掴んだリーグデビュー戦のアシストで涙。川崎アカデミー出身の山内日向汰が等々力で見せた輝き

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年03月31日

試合に絡めない日々を経て

短い時間で結果を残した山内。ここからの活躍に期待だ。写真:滝川敏之

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[J1第5節]川崎 3-0 FC東京/3月30日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 川崎がリーグ戦の連敗を「3」で止めたFC東京との“多摩川クラシコ”で、勝利の立役者と呼べるのは先制弾のMF脇坂泰斗、守備を引き締め3点目を奪ったMF橘田健人、出場直後に貴重な追加点をマークしたFW山田新ら多くの選手を挙げられるが、大きな印象を残したのはMF山内日向汰ではないか。

 川崎アカデミーで育ち、桐蔭横浜大を経て、今季川崎に戻ってきたルーキーは、神戸との富士フイルムスーパーカップに先発したものの、リーグ戦では出番を得られない日々を過ごしてきた。

 FC東京戦を控えたトレーニング後にはどこか悔しさと強い覚悟が混ざり合ったような表情を浮かべながら話をしてくれていた姿も印象深い。「やれる」という手応えと、デビューできない焦りが混在していたのかもしれない。

「練習試合もそこまで多くないですし、ACLで負けて過密日程でもなくなったので、チャンスは多くないはずです。だからこそ、練習でアピールしていかなくちゃいけない。みんなめちゃくちゃ上手いので、自分が出る意味を証明できないと、試合に出られないと思います。口で言ってもしょうがないので出た時に結果で示したいです」

【動画】山内のクロスから山田がゴール&脇坂の先制弾
 
 一方で「運動量と攻撃の部分ではチームの助けになれると思っているので、そういう部分を見せていきたいです」とも決意していた。

 開幕前のキャンプから軽快なプレーを見せていた。4-3-3であれば、インサイドハーフを主戦場にするが、SBなども臨機応変に務めてアピール。川崎アカデミーで培った技術力に加え、大学時代にはプロ生活を見据え、低酸素ルームを活用しながら様々な人のアドバイスにも耳を傾け、フィジカルや走力も磨いてきた。

 そしてついに迎えたリーグ戦デビューの時だ。ウイングのマルシーニョが出場停止だったことも影響したかもしれないが、FC東京戦でベンチ入りを掴むと、1-0で迎えた83分、同じ経歴を辿って来たアカデミー時代の先輩、大卒2年目の山田新とともに、中盤の左サイドへ送り出された。

 記念すべきリーグデビューの地が、愛着のある等々力であったことも彼の心を刺激したのだろう。

 直後に、CB高井幸大からの好フィードを左サイドで受けると、エリア内に侵入しながら、鋭い切り替えしで相手DFをかわす。そしてゴール前へクロス。これを山田が押し込み、チームに貴重な追加点をもたらしたのだ。

 山内のもとにはチームメイトたちが次々に駆け寄る。すると山内の目には光るものがった。

 プロを前に、先輩の三笘薫からもアドバイスをもらっていたという。シーズン前にはこう語ってくれていた。

「『遠慮するな』と言われたので、1年目から遠慮せずに試合にたくさん絡んで、チームの主力となれるように戦いたいです。そのなかで(2024年夏の)パリ・オリンピックもありますが、シーズン序盤で試合に絡まないと厳しくなるはずなので、そういう部分も視野に入れながら戦いたいです」

 理想通りのスタートダッシュを果たせたわけではない。しかし、リーグ5試合目でまずは結果を残した。大学時代には他のクラブからもオファーを受けるも、川崎愛を貫いた背景もある。川崎の“ヒナタ”が、多摩川クラシコを機に本領発揮することを願いたい。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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