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「2日間ぐらい寝られなかった」自分でも驚くほど悩んだG大阪移籍。途中出場が続くも「このクラブを選んで良かった」と思えたのは…【パリの灯は見えたか|vol.3 山本理仁】

カテゴリ:Jリーグ

松尾祐希

2023年05月03日

東京Vでのスランプからの脱却

昨年7月に東京VからG大阪へ完全移籍。今季は10節終了時点でリーグ戦7試合に出場。写真:鈴木颯太朗

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[インタビュー連載]パリの灯は見えたか|vol.3 山本理仁/後編

 順風満帆のサッカー人生を過ごしてきた一方で、東京Vでのプロ入り後は苦難の連続だった。2年目のシーズンからスランプに陥り、何をしてもうまくいかない日々が続く。

「サッカーが楽しくない」

 そんな言葉を残す場面も珍しくなく、山本理仁の顔から笑顔が消えた。「自分の通過点になる大会で、世界に飛び出すために勝負になる」はずだった同年に開催予定のU-20ワールドカップも中止に。さらに恩師の永井秀樹氏(現・ヴィッセル神戸スポーツダイレクター)が2021年の9月にトップチームの監督から退いた。何もかもがうまくいかない――。永井氏に恩返しができないまま、別々の道を歩むことになった。

 苦しんでいた有望株は失意のどん底にいた。このままでは終われない。パリ五輪を見据える男は新たな出会いを肥やしに前に進み、再び輝きを取り戻した。“サッカーを楽しむ”。原点とも呼べる感覚を取り戻した男は東京Vで輝きを放ち、昨夏に大きな決断を下す。愛するクラブを離れ、さらなる成長のために新天地を求めた。

 G大阪で過ごす日々は刺激的で、ヴェルディ時代とはまた異なる楽しさを噛み締めながら前進を続けている。光は見えたのか――。パリ五輪を見据える注目レフティの今を追う。

――◆――◆――
 
 2021年9月、永井氏と離れた山本は新たな監督の下でプレーを始めた。堀孝史氏(現・ベガルタ仙台コーチ)の下でスランプからの脱却を図ると、徐々に本来の良さを取り戻していく。

 セントラルMFのポジションで起用されると、創造性豊かなプレーと確かな戦術眼で瞬く間に東京Vの中心となった。なぜ、復調を果たしたのか。きっかけは自分と向き合ったからだ。山本は言う。

「守備が課題だったので他の選手のプレーを見て、自分も真似しようとし過ぎていた。特にジョエル(藤田譲瑠チマ/横浜)のプレーに影響され、アンカーならボールを取れないといけないと強く思い過ぎていた」

 調子を落としていた2021年シーズンは、前半戦の途中に出場機会を失ってしまう。ベンチを温めた期間に自分と向き合い、守備の課題を克服しながら自分の良さを取り戻すために“真似”を止めた。その時に脳裏によぎったのが永井氏からの言葉だったという。

「お前にはお前の良さがある。真似はしなくていい」

 考えが整理され、堀氏が監督に就任したタイミングで一気に状況が変わる。

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