両チームのプレスに対する姿勢が試合の流れを決定付ける。
バルサは勝つ――。
今回のクラシコの前、私はそう考えていた。
ネイマールは好調だったし、スアレスもいい。クラシコではメッシも戻って来る。
いくら敵地とはいえ、バルサは勝点3を手にするだろう――。
私が予想できたのはそこまでだった。
敵地サンチャゴ・ベルナベウでのバルサが見せてくれたサッカーは、私の予想をはるかに上回る、歴史に残るものだった。
私は長いことバルサの番記者を務めてきた。90年代初頭のクライフが率いたドリームチーム、ロナウドやリバウド、ロナウジーニョらが残したサッカー、そしてペップのチームも目にしてきた。
しかし、今回の敵地サンチャゴ・ベルナベウでの圧倒は、それらを凌ぐものだったと言える。
大差がついた最大の要因は、ルイス・エンリケとベニテスの両指揮官が準備したプランと采配にあった。
ポイントは中盤だ。
ルイス・エンリケはこのエリアが勝負を分けると考え、右ウイングの位置にS・ロベルトを配した。彼は本職のインテリオールに加え、右SB、アンカー、そして右ウイングまでもこなすユーティリティーな選手である。彼を右ウイングに置き、サイドから中盤に加わっていく偽ウイングとしての役割を求めた。
S・ロベルトは前半からポイントになった。マドリーのマルセロとクロースは、この流動的で曖昧なポジションニングをとるMFを捕まえきれなかった。
S・ロベルト、ラキティッチ、ブスケッツ、イニエスタの4人がパスを回し、左サイドのネイマールがこれに加わる。クロース、モドリッチ、ハメスの3人で構成したマドリーの中盤は数的不利となり、まったく機能しなかった。このエリアでのマッチアップが、勝負を分けた。
つねに数的有利を保った中盤でのパスワークは、ペップの黄金期を思わせるかのようでもあった。ただボールを回すのではなく、パススピードが伴ったパスの連続である。
チームが攻撃陣と守備陣に完全に分断されたマドリーは、それについていくことができなかった。ロナウド、ベンゼマ、ベイルという3人のアタッカーは守備に積極的ではなく、相手守備陣へのプレスはほぼ皆無。
一方でバルサは、最前線のスアレスが最終ラインのボールの出所にプレスをかけ続けた。イニエスタのパスをネイマールが決めた2点目では、スアレスがモドリッチからボールを奪ったところから始まった。それがなによりの証である。
イニエスタ、ネイマール、スアレスらのテクニックと4つのゴールシーンが強く印象に残るゲームだったが、その影で、真の意味で試合の流れを決定付けたのは、両チームのプレスに対する姿勢だったのだ。
今回のクラシコの前、私はそう考えていた。
ネイマールは好調だったし、スアレスもいい。クラシコではメッシも戻って来る。
いくら敵地とはいえ、バルサは勝点3を手にするだろう――。
私が予想できたのはそこまでだった。
敵地サンチャゴ・ベルナベウでのバルサが見せてくれたサッカーは、私の予想をはるかに上回る、歴史に残るものだった。
私は長いことバルサの番記者を務めてきた。90年代初頭のクライフが率いたドリームチーム、ロナウドやリバウド、ロナウジーニョらが残したサッカー、そしてペップのチームも目にしてきた。
しかし、今回の敵地サンチャゴ・ベルナベウでの圧倒は、それらを凌ぐものだったと言える。
大差がついた最大の要因は、ルイス・エンリケとベニテスの両指揮官が準備したプランと采配にあった。
ポイントは中盤だ。
ルイス・エンリケはこのエリアが勝負を分けると考え、右ウイングの位置にS・ロベルトを配した。彼は本職のインテリオールに加え、右SB、アンカー、そして右ウイングまでもこなすユーティリティーな選手である。彼を右ウイングに置き、サイドから中盤に加わっていく偽ウイングとしての役割を求めた。
S・ロベルトは前半からポイントになった。マドリーのマルセロとクロースは、この流動的で曖昧なポジションニングをとるMFを捕まえきれなかった。
S・ロベルト、ラキティッチ、ブスケッツ、イニエスタの4人がパスを回し、左サイドのネイマールがこれに加わる。クロース、モドリッチ、ハメスの3人で構成したマドリーの中盤は数的不利となり、まったく機能しなかった。このエリアでのマッチアップが、勝負を分けた。
つねに数的有利を保った中盤でのパスワークは、ペップの黄金期を思わせるかのようでもあった。ただボールを回すのではなく、パススピードが伴ったパスの連続である。
チームが攻撃陣と守備陣に完全に分断されたマドリーは、それについていくことができなかった。ロナウド、ベンゼマ、ベイルという3人のアタッカーは守備に積極的ではなく、相手守備陣へのプレスはほぼ皆無。
一方でバルサは、最前線のスアレスが最終ラインのボールの出所にプレスをかけ続けた。イニエスタのパスをネイマールが決めた2点目では、スアレスがモドリッチからボールを奪ったところから始まった。それがなによりの証である。
イニエスタ、ネイマール、スアレスらのテクニックと4つのゴールシーンが強く印象に残るゲームだったが、その影で、真の意味で試合の流れを決定付けたのは、両チームのプレスに対する姿勢だったのだ。