【探訪ストーリー】柿谷曜一朗――再出発の地、徳島

カテゴリ:日本代表

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2014年05月30日

移籍当初にはなかったスライディングでボールを奪いに行く姿。

徳島への移籍をきっかけに、献身的なプレーも見せるようになった柿谷。C大阪では本来の輝きを取り戻した。 (C) SOCCER DIGEST

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 柿谷がいる2年半の間に、徳島は9位、8位、4位と順位を上げた。最後の2011年は36節で3位に立ったが、「残り2試合で、勝点4を奪えばJ1昇格」という条件を満たせず、札幌に逆転を許した。
 
 その年、副主将に指名されていた柿谷は、主将の倉貫が試合に出ない時にはキャプテンマークを巻きピッチに立った。チームを引っ張るという責任感が、プレーから溢れ出していた。美濃部は思い起こす。
 
「なにも言わなくても、危ない時にはゴール前まで戻るようになった。スライディングでボールを奪いに行くなんて、来た時には見られませんでしたよ。徳島がちょうど成長していく大きな流れのなかで、曜一朗も人生を懸けてやれていたと思いますね」
 
 2012年に、柿谷のC大阪への復帰が正式に発表される。その直後、柿谷は徳島の多くの人たちに感謝の想いを伝えていったそうだ。強化部長の中田は「こいつはもう、大丈夫だ」と感じ取った。
 
「ようやくサッカーの技術に心も追いついた。曜一朗が戻るのには、ちょうど良いタイミングだったのかもしれない。サッカーはひとりではできない。信用や信頼関係があってこそ、チームは成り立つ。そういう根本的なところを、徳島にいる間に肌で感じられたのではないでしょうか。
 
 ただ『今年の阿波踊り、行きますわ』って言ってたんですけれどね。日本代表に選ばれて、さすがに抜け出せなかったみたいで(笑)」
 
 そして、誰もが口を揃えて言っていたことがある。それは、誰かが柿谷を変えたわけではない。彼自身が気付き、自ら変わった――と。
 
 C大阪から来たばかりの暗く閉ざされた柿谷の心に、徳島の人たちが火をともした。柿谷はその火を大きく燃やし、情熱に変えた。やがてその柿谷の情熱が、徳島の人たちを魅了していった。
 
 再出発の地、徳島。この地での2年半が、柿谷の人生の分岐点になった。そして彼と徳島の人々の間には、今も共有し合える情熱の鼓動が息づいている。    (文中敬称略)
 
取材・文:塚越 始(週刊サッカーダイジェスト)
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