「サプライズ」の舞台裏――大久保嘉人はなぜ再生したのか

カテゴリ:日本代表

2014年05月12日

輝きを失っていた大久保の成長を引き出す「風間理論」。

発表当日、ACLのFCソウル戦のため、羽田空港に向かうチームバスに乗り込む大久保。その後、空港で選出の喜びを語った。 (C) SOCCER DIGEST

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 父の一周忌の命日にあたる5月12日。大久保嘉人は、朝9時30分からのチーム練習で、ごく軽めのメニューで身体を動かし、チームバスに乗り込んでいる。ACLのラウンド16・セカンドレグをソウルで戦う川崎は、この日羽田空港からソウルへと移動した。代表メンバーへの選出は、この移動中のバスで見ていたテレビで知った。バスの中で大久保は、チームメイトからの大きな歓声で祝福されたという。
 
 26歳で川崎に移籍してきた森島康仁について尋ねた際、大久保嘉人は「26歳でここに来れてね、ホント良いと思うよ。オレも若い時に来たかったよ。どれだけ上手くなったんやろう。本当に若い時に来たかった」と述べている。そんな言葉が聞かれたのは現在31歳になる大久保が風間八宏監督の指導の下、日々成長を続けている実感があるからだ。
 
 大久保が川崎に新加入した2013年のシーズン中のこと。大久保に「風間監督から教わったこと」について聞いたことがある。風間監督は「止める」「蹴る」「外す」といった基本的な技術を繰り返し選手たちに指導し、守備ブロックを組む敵を崩す道筋を選手たちに伝え続けていた。

前回の南アフリカW杯では、全4試合に先発出場。しかし、その後のJリーグでは振るわなかった。 (C) SOCCER DIGEST

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 大久保は、そんな風間理論について「風間さんが教えてくれたことは、新しかったですね。あれは初めてでした」と述べている。相手を外してボールを引き出せば、より有利な状態でボールを保持できる。かねてより持っていた基礎技術に、風間理論を肉付けした大久保は、ボールをめったに失わない、計算できる選手となっていった。
 
 その大久保は、前回の南アフリカ・ワールドカップでは、日本代表が戦った4試合すべてに先発出場し、日本代表のベスト16入りに大きく貢献。病床にあった父への想いを乗せて全身全霊をかけてピッチを駆け回った。その気持ちの強さゆえに、大会後にはオーバートレーニング症候群を発症してしまうほどだった。
 
 大久保が休息を取る間も、日本代表はその歩みを止めることがなかった。南ア大会終了後、日本サッカー協会はアルベルト・ザッケローニ氏を監督に招聘。その新生日本代表に大久保が招集されたのは、2012年2月24日のアイスランド戦の1試合のみである。
 
 当時所属していた神戸での大久保の成績は、決して芳しいものではなかった。ワールドカップイヤーの2010年は、17試合で4ゴールにとどまり、11年は30試合で9ゴールを奪ったものの、翌年神戸がJ2に降格した12年には26試合で4ゴールに終わった。
 
 大久保は完全に輝きを失っていた。完全に過去の選手になってしまっていたのである。その間にもザッケローニ率いる代表はメンバーを固め、熟成を進めていった。大久保が代表に入る余地は狭められていった。
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