【香川密着・第1回】ハットトリックから1年、香川の現在地

カテゴリ:メガクラブ

田嶋コウスケ

2014年02月26日

チームが不振を極める現状は、むしろチャンスか

出番が得られるであろうCLを活路に、香川はこの苦境を乗り越えていけるか。ここが踏ん張りどころだ。 (C)Getty Images

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 今シーズンの香川は、CLグループステージの全6試合中5試合に先発。左サイドMFとして3試合、トップ下として2試合、スタメンでピッチに立った。先述のレアル・ソシエダ戦に加え、レバークーゼン戦(11月27日)でも存在感を示すなど、欧州の舞台では文字通りキーマン級の活躍を見せている。

 CLでボールポゼッションが鍵を握っているのは、バルセロナに完敗した09年と11年のファイナルで、ファーガソンは痛いほど思い知らされた。ユナイテッドの監督に就任するまでCLを戦った経験のなかったモイーズは、そのサー・アレックスから戦い方や教訓について、少なからず助言を受けていたのだろう。キャリア初となるグループステージで、モイーズがファーガソン時代のCLの戦い方を踏襲していたのは非常に興味深い。

 香川が活路を見出すとしたら、ここだろう。オリンピアコスとの決勝トーナメント1回戦・第1レグ(0-2)はベンチスタートだったが、逆転を期して臨む第2レグでは、モイーズが“原点回帰”で香川を先発に復帰させることも考えられる。

 欲を言えば、左サイドMFよりも守備タスクの少ないトップ下でプレーしたいところだ。ポゼッションを高めつつ、周囲と“良い距離感”を保ちながら「連係・連動」し、味方とのワンツーやドリブル突破から結果を残せば、ひょっとしたらモイーズの評価も変わってくるかもしれない。

 いま一度思い返すと、1年前のノーリッジ戦でハットトリックを達成した3点目も、鮮やかな連係プレーから生まれた。ルーニーとダニー・ウェルベックが有機的に絡み、DFラインの隙を突いて香川がペナルティーエリアに侵入。ルーニーのダイレクトパスが、走り込んだ香川へとつながり、ノーリッジの最終ラインを見事に崩し切った。香川がドルトムント時代に何度も見せていたような、鮮やかな連係でゴールを呼び込んだのである。これこそが、今のユナイテッドに必要なプレーだ。

 たしかに、状況は厳しい。現時点で、マンチェスターでの香川に明るい未来を思い描くのは容易ではないだろう。だが、ここが踏ん張りどころである。チームが不振を極める現状は、香川にとってチャンスでもあるのだから。


【著者プロフィール】
田嶋康輔/1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。出版社勤務を経た後、サッカー記者として活動を始める。住み慣れたロンドンを離れてマンチェスターに移住。サッカー誌を中心に執筆・翻訳に精を出す。
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