ついにミランも中国資本に…セリエA「外資参入」の背景とは?

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2017年04月14日

「持続可能型経営」のボローニャが理想形。

身体中にタトゥーを掘っているという派手な見た目が話題となったポール・バッカリーニはパレルモを買収したと報じられた投資ファンドを仕切る。果たしてその手腕やいかに。 (C) Getty Images

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 セリエAではこのほか、ボローニャが14年、MLSのモントリオール・インパクトも保有しているイタリア系カナダ人、ジョーイ・サプート(本業は乳業メーカー)に買収されて、今年で3シーズン目を迎えている。
 
 サプートはクラブの市場規模に合わせた無理のない健全経営で長期的かつ安定的な成長を目指す方向性を打ち出しており、当面はセリエAに定着しつつ、スタジアムやトレーニングセンターの整備などクラブとしての基盤を安定させることが優先されている。ある意味ではこれが、最も望ましい形での外資参入事例と言えるかもしれない。
 
 この3月初めには、おそらく来シーズンはセリエBに降格するパレルモが、イタリア系アメリカ人の元TVタレントが代表を務める投資ファンドに買収された。
 
 この投資ファンドは、パレルモだけでなく旧オーナーのマウリツィオ・ザンパリーニが保有する企業グループ(ショッピングセンター開発やホテルなど不動産事業が中心)全体に関心を持っており、スタジアムとトレーニングセンターの建設も含めたプロジェクトを持っているとされる。代表者の元TVタレント、ポール・バッカリーニは「パレルモには大きな投資価値がある」と語っているが、買収が正式に成立する4月まで投資ファンドのバックグラウンドが明らかにされないなど、まだ不透明な部分が多い。
 
 というわけで、ここまで見てきたローマ、インテル、ミランを除くと、イタリアのクラブで投資家にとって魅力になり得る「物件」はあまり見当たらない。ナポリ、ラツィオはローカルなワンマン会長の下でそれなりに安定した健全経営が進められているし、フィオレンティーナを保有するデッラ・ヴァッレ家も一時は売却が噂されたものの、先頃フィレンツェ市とともに新スタジアムのプロジェクトを発表するなど、ようやく投資を回収しつつビジネス規模を拡大できるフェーズに入ったように見える。
 
 となると、CLやEL(ヨーロッパリーグ)への進出を目指すような形での買収プロジェクトが成立し得るのは、サンプドリア、ジェノアというジェノバ勢くらいだろうか。いずれも経営は安定しているとは言い難く、今後遠からず売却話が出てくる可能性は小さくはない。
 
 セリエAの安定と発展に必要なのは、むしろボローニャのような健全かつ堅実な「持続可能型経営」を進めようという外国資本かもしれない。
 
文:片野道郎
 
※『ワールドサッカーダイジェスト2017.04.20号』より加筆・修正
 
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