ついにミランも中国資本に…セリエA「外資参入」の背景とは?

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2017年04月14日

投資対象としてのミラノ勢の魅力。

ここ数シーズンは経営状態の悪化により、リーグでの格が下がっていたミラノ勢。しかし、中国資本に買収されたことでかつての姿を取り戻すかもしれない。 (C) Getty Images

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 ユーベが一人勝ちの体制を確立し、ローマ、ナポリがそれを追う一方で、10年代に入って斜陽への道を歩んだのがインテル、ミランのミラノ勢。いずれも、10年前(06-07)には売上高で欧州ベスト10に入り、戦力的にもCLで優勝を争えるレベルにありながら、その後進んだメガクラブ間の国際競争(とりわけ選手争奪戦の激化による移籍金と年俸の高騰)についていけず、オーナー家がクラブを財政的に支えきれなくなって身売りを余儀なくされた。
 
 どちらも数億ユーロ単位の累積赤字を抱えながら買い手が付いたのは、クラブの歴史と伝統が持つブランド力、世界的な知名度と人気に支えられた潜在的なマーケット規模という、投資家を惹きつける魅力があったからだ。
 
 14年にインドネシア人投資家エリック・トヒルが3億ユーロ(約360億円)以上を投じてモラッティ家からインテルの経営権を買い取ったのも、短期的な投資によって戦力を整備して1~2年でCLへの復帰を果たせば、2億人超の人口を抱えるインドネシアをはじめアジア市場の拡大が期待できて、4~5年でリターンが得られるという見通しに立ってのことだった。
 
 しかし、ロベルト・マンチーニを再招聘して一気にCL出場権獲得を狙った14-15と15-16シーズンのいずれも目標に到達できず、見込んでいたUEFAからのCL分配金が得られないため投資回収がままならないという状況に追い込まれて、わずか2年あまりでギブアップ。昨夏、本業の家電販売やEコマースでも欧州進出の機会をうかがっていた中国の家電量販チェーン、蘇寧電器グループに経営権を売却した。
 
 南京に本拠を置く蘇寧グループは中国最大の小売業者で、15年の売上高は1350億元(約2兆1600億円)。本業での成長性が鈍ってきたこともあって、近年は事業の多角化に力を入れ始めており、スポーツ産業への進出も基幹ビジネスのひとつと位置づけられている。15年12月に地元南京の江蘇舜天を買収して江蘇蘇寧と改名すると、その半年後の昨年6月にインテルを買収と、急ピッチでスポーツビジネスの拡大に取り組んでいるのだ。
 
 ちなみにインテルの強化部門は、モラッティ時代からのピエロ・アウジリオSDが依然として責任者の立場にあるが、現時点では今夏で切れる契約の延長を交渉中という状況であり、蘇寧グループが本格的に経営に乗り出す来シーズン以降の強化体制は不透明だ。
 
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