「あれ」が起こらなかったらと、考えない日は一日もない。
ピアース記者:リバプールではいろんな監督と一緒に仕事をしてきた。もっとも好きなのはだれ?
ジェラード:これは答えるのが難しいな。指導を受けた5人は、みんなタイプが異なるからね。ただ、人間としては好きじゃなくても、最高の結果を分かち合えた監督も、なかにはいる。それを踏まえたうえで君の質問に答えるなら、僕の答はラファ・ベニテス(現ニューカッスル)となる。彼が作ったチームは、個人的にはパーフェクトだった。まさしく「ジェラード仕様」といったチームで、僕自身がつねに最高値を出せるように選手が配置されていたんだ。当時の僕が24~25歳と、キャリアのピークに向かっていたのは確かだけど、ラファに生かされたところは少なくない。とくに戦術に関して、彼はワールドクラスだったからね。運良く僕はすべての監督との時間を楽しむことができた。もちろん、ケニー・ダルグリッシュはヒーローのひとりだったし、ブレンダン・ロジャース(現セルティック監督)のサッカーも大好きだった。個人的には、ロイ・ホジソンとも良い関係を築けたし、プレー自体も悪くなかったと思う。あまり長い時間を一緒に過ごせなかったのは残念だったけどね。そしてもちろん、特別な監督がいる。ジェラール・ウリエだ。彼は僕にチャンスをくれた指揮官で、ピッチの外でも、デヒューして間もない僕の成長の大きな助けとなった。
ピアース記者:最後の質問だ。もしキャリアの中でひとつだけ変えられるとしたら、それはなんだろう?
ジェラード:13-14シーズンの終盤戦、かな(リバプールは残り3試合でプレミアリーグの首位にいながら、優勝を逃した。36節のチェルシー戦ではジェラードがトラップミスから失点に絡み、試合に敗れた。)。もう何年も涙を流したことはなかったけど、あの日、自宅に帰る車中で、涙を止めることができなかった。まるで家族の中のだれかを失ったような悲しみに包まれた。あの午後の情景が、頭の中で何度も何度も繰り返されたよ。個人的には、本当に最悪で厳しい結末だったと思う。「あれ」が起こらなかったらと、考えない日は一日もない。いろんなことが、いまとはまったく異なる状況になっていたのかなってね。ただね、もしだれかが8歳の頃の僕に、「キミはこれからリバプールで710試合プレーし、多くのトロフィーを勝ち取る。ただ同時に辛いこともあるだろう」って教えてくれたら、喜んでその道を選んでいただろう。もちろん、後悔することもあるさ。あの13-14シーズンにリーグタイトルを獲れなかったのが、その最たるものだ。それでも断然、僕の中では美しい思い出のほうが上回っているんだよね。
インタビュー:ジェームズ・ピアース(リバプール・エコー紙)
翻訳:松澤浩三
ジェラード:これは答えるのが難しいな。指導を受けた5人は、みんなタイプが異なるからね。ただ、人間としては好きじゃなくても、最高の結果を分かち合えた監督も、なかにはいる。それを踏まえたうえで君の質問に答えるなら、僕の答はラファ・ベニテス(現ニューカッスル)となる。彼が作ったチームは、個人的にはパーフェクトだった。まさしく「ジェラード仕様」といったチームで、僕自身がつねに最高値を出せるように選手が配置されていたんだ。当時の僕が24~25歳と、キャリアのピークに向かっていたのは確かだけど、ラファに生かされたところは少なくない。とくに戦術に関して、彼はワールドクラスだったからね。運良く僕はすべての監督との時間を楽しむことができた。もちろん、ケニー・ダルグリッシュはヒーローのひとりだったし、ブレンダン・ロジャース(現セルティック監督)のサッカーも大好きだった。個人的には、ロイ・ホジソンとも良い関係を築けたし、プレー自体も悪くなかったと思う。あまり長い時間を一緒に過ごせなかったのは残念だったけどね。そしてもちろん、特別な監督がいる。ジェラール・ウリエだ。彼は僕にチャンスをくれた指揮官で、ピッチの外でも、デヒューして間もない僕の成長の大きな助けとなった。
ピアース記者:最後の質問だ。もしキャリアの中でひとつだけ変えられるとしたら、それはなんだろう?
ジェラード:13-14シーズンの終盤戦、かな(リバプールは残り3試合でプレミアリーグの首位にいながら、優勝を逃した。36節のチェルシー戦ではジェラードがトラップミスから失点に絡み、試合に敗れた。)。もう何年も涙を流したことはなかったけど、あの日、自宅に帰る車中で、涙を止めることができなかった。まるで家族の中のだれかを失ったような悲しみに包まれた。あの午後の情景が、頭の中で何度も何度も繰り返されたよ。個人的には、本当に最悪で厳しい結末だったと思う。「あれ」が起こらなかったらと、考えない日は一日もない。いろんなことが、いまとはまったく異なる状況になっていたのかなってね。ただね、もしだれかが8歳の頃の僕に、「キミはこれからリバプールで710試合プレーし、多くのトロフィーを勝ち取る。ただ同時に辛いこともあるだろう」って教えてくれたら、喜んでその道を選んでいただろう。もちろん、後悔することもあるさ。あの13-14シーズンにリーグタイトルを獲れなかったのが、その最たるものだ。それでも断然、僕の中では美しい思い出のほうが上回っているんだよね。
インタビュー:ジェームズ・ピアース(リバプール・エコー紙)
翻訳:松澤浩三