ピアース記者：じゃあ、プレーヤーとしての能力に驚かされたのは？
 
ジェラード：フェルナンド・トーレス（現アトレティコ・マドリー）とルイス・スアレス（現バルセロナ）だね。彼らのプレーを見ていると、「なんだいまのは!?　目の錯覚じゃないよな!?」ってことがよくあってね。素晴らしいムーブメントを見せていたマイケル（オーウェン）とプレーするのも好きだった。彼が前線にいるときは、アシストのチャンスがつねにあったから。あと、ロビー（ファウラー）のプレーも大好きだったね。僕がトップチームに定着した頃、ロビーはもうキャリアの終盤に差し掛かっていて、あまり多くの時間は共有できなかったんだけど、それでも一緒にプレーできて本当に光栄だった。僕たちミッドフィルダーは、上質のストライカーがとにかく好きだからね。日頃のトレーニングから、次元の高いプレーを継続的に続けていたのが、シャビ・アロンソ（現バイエルン）だった。彼が特別な才能を備えた選手だってことには、初めて一緒に練習した日の最初の５分で気づいたよ。とんでもない選手だなって。とにかく、パスの精度が半端じゃなかった。その後、さらに数日間一緒にプレーするなかで、「コイツは世界を代表するミッドフィルダーになる」って確信したよ。
 
ピアース記者：他にパートナーシップを楽しんだ選手はいる？
 
ジェラード：長身のピーター・クラウチ（現ストーク）。彼と一緒にプレーするのも好きだったね。FAカップ決勝のウェストハム戦（06年）でもそうだったけど、彼はポストプレーが巧みだったし、いい形でアシストしてくれてね。そのあたりはさほど評価されていなかったみたいだけど、チームへの貢献度はつねに高かった。その意味では、アンディ・キャロル（現ウェストハム）も、もう少し長くクラブに留まっていてくれたら、良いパートナーシップが組めたんじゃないかって思っているよ。彼も得意のポストでゴールのお膳立てをしてくれる選手だったからね。あとはディルク・カイト（現フェイエノールト）、彼も好きな選手のひとりだった。あの超人的な運動量だけがクローズアップされがちだけど、実はプレーのクオリティーも高くて、大事な場面でゴールを決められる特別な嗅覚も備えていた。資料を見ればわかると思うけど、ディルクは多くの重要なゴールに絡んでいる
はずだよ。
 
ピアース記者：リバプールでは186ゴールを挙げているけど、技術的に印象に残っているゴールはある？
 
ジェラード：さっきも話が出た06年のFAカップ決勝（ウェストハム戦）の終了間際のゴールと、04-05シーズンのオリンピアコス（CL）との試合で決めたゴールかな。このふたつは、撃った瞬間に夢見心地の感触を得たんだ（笑）。それくらいすごかったってことさ。ボールが僕の足を離れた瞬間、「イエス、これはいった!!」って思えたんだ。ホームのミドルスブラ戦（05年４月）で決めたロングシュートや、敵地でのマルセイユ戦（07年12月）で決めたミドルシュートも良かったね。ミドルスブラ戦のゴールは、身体は完全に左を向いているのに、右足で蹴ったボールは大きく曲がって左のトップコーナーに突き刺さった。グディソン・パーク（エバートンの本拠地）でも似たようなのを決めたけど、あれも良かった。これが僕のトップ５ゴールさ。