「ボランチ失格」からの再出発。今野泰幸を代表CBに押し上げた2009年の出来事とは?

カテゴリ:Jリーグ

飯尾篤史

2016年06月11日

CBへの転向が、経験と幅をもたらしたのは間違いない。

代表とクラブの両方で縦関係を遠藤のアドバイスで、今野のプレーの幅は大きく広がったという。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 12年にガンバ大阪に移籍し、遠藤とクラブでもチームメイトになった今野は、14年のブラジル・ワールドカップを終えて再びボランチとしてプレーするようになり、遠藤の考えをさらに理解するようになったという。
 
「今では僕も『今入れて、次のパスコースあるから』って、CBに要求できるようになりましたから」
 
 それなら、良い指導者になれるのではないですか――。そう訊ねると、「いや、無理です」との答が返ってきた。
 
「だって、僕の言葉は受け売りですもん。やっぱり指導者って、サッカーが大好きで、自分の考えがあって、それを言葉にできる人がなるべきだと思う。だから僕は、指導者とかじゃなく、できるだけ長く現役を続けて、少しでも上手くなることを目指したい。そう考えると、ふたつのポジションができるのは自分の強みだし、それが僕のサッカー人生を長くしてくれると思うんですよ」
 
 CBへの転向を余儀なくされた09年は、複雑な感情とともに刻まれている。しかし、このコンバートが今野泰幸というサッカー選手に経験と幅をもたらしたのは間違いない。
 
「CBでプレーしたからガンバに移籍できたし、ワールドカップにも出られた。辛いこと、悔しいこともあったけど、楽しめた部分も多い。良い経験をさせてもらったと思っています」
 
 インタビューの前半、言葉数の少なかった今野に、いつもの笑顔が戻っていた。

取材・文:飯尾篤史(スポーツライター)

プロフィール
こんの・やすゆき/ 1983年1月25日生まれ、宮城県出身。178㌢・73㌔。上野山FC―山田中-東北高―札幌―FC東京―G大阪。日本屈指のボール奪取力を誇り、戦術眼も備える。ボランチ、CB、SBを高いレベルでこなし、チームに安定感をもたらす守備のスペシャリストだ。
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