「ボランチ失格」からの再出発。今野泰幸を代表CBに押し上げた2009年の出来事とは?

カテゴリ:Jリーグ

飯尾篤史

2016年06月11日

09年のナビスコ優勝。「今日は自分たちのサッカーができれば勝てると思っていた」

09年のハイライトはナビスコカップでの戴冠だ。「とにかく面白いようにパスがつながっていた」と振り返る。(C)SOCCER DIGEST

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「でも、このままふて腐れていたら、俺のサッカー人生、終わるなっていう焦りもあって。ブレブレでした、あの頃は」
 
 ボランチ失格を受け入れてはならないというプロのプライドと、前向きに取り組まなければならないという、これまたプロの矜持の間で揺れる今野に立ち直るきっかけを与えたのは、コンバートを告げた指揮官の言葉だった。
 
「城福さんに『ボランチのようにプレーすればいいから』って言われたんです。それで楽になったというか。『どんどんパスをつないでいいんだぞ』『持ち上がってもいいんだからな』って」
 
 ボランチと比べて敵からのプレッシャーが弱いCBなら、いくぶん余裕を持って周囲を見渡し、ボールを展開することができる。ボランチでの弱点が、CBでは強みになるという算段が指揮官にはあったのだ。
 
「当時、バルサを見ても、ディフェンスラインから攻撃を組み立てていて、良いサッカーをしていた。自分もそんな風に攻撃の一歩目となるパスを出していければいいなって。自分らしいCB像を確立すればいいんじゃないかって、だんだん思えるようになっていったんです」
 
 フィールドプレーヤーの最後方に位置するCBは、ひとつのミスが失点につながるポジションである。そうした恐怖や緊張感は、ボランチの時には味わった経験のないものだった。
 
「自分のところでやられて失点した時なんかは責任を凄く感じて、悔しくて眠れないことがしょっちゅうある。引きずってはいけないんですけど、メンタルのコントロールが難しかった」
 
 一方、CBならでは、の快感もある。
「ディフェンスは本来リアクションなんだけど、自分からアクションを仕掛けてFWからボールを奪えた時はすごく楽しい。それで失点ゼロに抑えて、チームが勝った時なんかは最高ですね」
 
 こうして少しずつCBの自覚を強めていった今野の、09年のハイライトが11月3日のナビスコカップ決勝だった。FC東京は川崎フロンターレを2―0で下し、04年の同大会に続くふたつ目のタイトルを手に入れる。
 
 この試合の後、今野はこんなコメントを残している。
「今日は自分たちのサッカーができれば勝てると思っていた」
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