FC東京を選んだ理由は?
進路が決まった西堂は今、関東大学リーグで躍動を見せている。リーグ復帰戦となった9月25日の国士舘大戦では前半途中で投入されると、1ゴールをマーク。内定発表直後となった10月2日のリーグ戦の桐蔭横浜大戦では右足と左足で2アシストの活躍を見せると、直近の明治大戦でも敗れはしたが1アシストをマーク。チャンスメーカーとしてスケールアップした姿を見せている。
「上の先輩より後輩の方が刺激になりますね。正直、今は唯人と大雅に対して『いよいよ負けていられないな』と思っています」
そう笑った西堂には冒頭で触れたようにオンリーワンになれる素質を持っている。筆者の想いを彼にぶつけると、引き締まった表情でこう回答をくれた。
「そうなりたいと思っています。三笘薫さんのように強烈な個を出せる選手になりたい。それが僕にとって前への推進力。正直、僕が右利きだったら、高校、大学を通じてこんなに声をかけてもらえるような存在ではなかったかもしれません。だからこそ、左足をもっと磨くのはもちろんですが、右も遜色なく使えることで、自分の特異性をより出せると思うんです。それで出せなかったら『自分の力不足、そこまでだな』と思っています」
全ては自分次第。高校時代からそれを学んできた彼は、最後にこれからの展望についてこう語った。
「僕の中でア式(早稲田大ア式蹴球部)に対する恩があって、なるべく多くのものをア式に返したいと思っているので、早めに内定を決めたからといって、Jリーグばかりになるのではなく、まずはア式に貢献したい気持ちが強いです。FC東京を選んだことに関してはパリ五輪出場という自分の中での明確な目標を見据えた時に、レベルの高い環境で勝ち抜けないと力をつけて五輪に出られない。競争に負けたら僕がそれまでの力だったということ。そこは覚悟ができています」
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)