「J1の舞台で渉との直接対決で勝つことができたら、一区切りできるんじゃないかなと思う」
武器はスピードとアジリティ、そして両足でのボールタッチとキックの強度と精度が高いこと。左サイドから縦突破とカットインを相手の状況を見て繰り出す練習を繰り出し、ストップ&ダッシュを繰り返す中で正確なクロスやシュートを放てるように、何度も何度もイメージを持ってトライをして切れ味を磨いていった。
自身の潜在能力に加え、弟の存在によってコツコツと磨き上げたものによって、彼は驚異的なスピードで立身出世を重ねていく。大学2年で出番を掴むと、昨年はレギュラーとして躍動。プロ注目のサイドアタッカーへと成長し、気がつけば彼を巡る争奪戦まで繰り広げられるようになった。そして今年の4月9日、複数のクラブが正式オファーを出す中で北海道コンサドーレ札幌への入団が内定。ついに弟と同じJリーガーとなることが決まった。
「常に渉を基準にやってきた。でも、これで僕が渉に追いついたわけではありません」
一足早くプロとして経験を積み重ねている渉に対し、自分が成長をすればするほどリスペクトの念が強くなっていった。
その一方で、渉は7月に大きな決断を下した。J1リーグで出番を得られなかった仙台からJ2の山口へ育成型期限付き移籍を決断。持ち前のテクニックとビルドアップ能力を駆使して、山口でボランチとしてのレギュラーを掴み取った。
「ようやく試合に出れるようになっていて本当に嬉しい。正直、プロに入ってから渉が試合に出ているのをあまり見たことがなかったので、そう思うとちゃんと試合で渉のプレーを見るのは僕が高3の時以来でした。改めて『やっぱりうまいな』とか、『こういうプレーができるようになったんだ』と思いましたし、刺激を受けました。本当に凄い奴だと思います」
時には反発することもあった。だが、お互いが心のどこかで認めていて、かつ努力を重ねたことで、尊敬できる最高のライバルであり、素直になれる家族になれた。
「僕はまだプロの舞台で何も残していない。J1の舞台で渉との直接対決で勝つことができたら、そこで一区切りできるんじゃないかなと思う。まずはそこを夢見て、一歩ずつ踏み締めて成長をしていきたい」
これから宏武はJ1内定選手として大学サッカーで存在感をさらに示し、来季は1年目から活躍できるように。同時に渉は山口で躍動して、もう一度J1の舞台に戻れるように。それぞれが自分を信じて前に進み続けることで、望むべき将来はやってくる。そのことは彼ら自身がよく分かっている。
宏武の大きな成長によって、田中兄弟の絆はまた新たな形となった。来季はJの舞台で2人の運命の歯車が回り出す。そう、これまでの彼らのサッカー人生と同じように刺激を与え合いながら。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
「常に渉を基準にやってきた。でも、これで僕が渉に追いついたわけではありません」
一足早くプロとして経験を積み重ねている渉に対し、自分が成長をすればするほどリスペクトの念が強くなっていった。
その一方で、渉は7月に大きな決断を下した。J1リーグで出番を得られなかった仙台からJ2の山口へ育成型期限付き移籍を決断。持ち前のテクニックとビルドアップ能力を駆使して、山口でボランチとしてのレギュラーを掴み取った。
「ようやく試合に出れるようになっていて本当に嬉しい。正直、プロに入ってから渉が試合に出ているのをあまり見たことがなかったので、そう思うとちゃんと試合で渉のプレーを見るのは僕が高3の時以来でした。改めて『やっぱりうまいな』とか、『こういうプレーができるようになったんだ』と思いましたし、刺激を受けました。本当に凄い奴だと思います」
時には反発することもあった。だが、お互いが心のどこかで認めていて、かつ努力を重ねたことで、尊敬できる最高のライバルであり、素直になれる家族になれた。
「僕はまだプロの舞台で何も残していない。J1の舞台で渉との直接対決で勝つことができたら、そこで一区切りできるんじゃないかなと思う。まずはそこを夢見て、一歩ずつ踏み締めて成長をしていきたい」
これから宏武はJ1内定選手として大学サッカーで存在感をさらに示し、来季は1年目から活躍できるように。同時に渉は山口で躍動して、もう一度J1の舞台に戻れるように。それぞれが自分を信じて前に進み続けることで、望むべき将来はやってくる。そのことは彼ら自身がよく分かっている。
宏武の大きな成長によって、田中兄弟の絆はまた新たな形となった。来季はJの舞台で2人の運命の歯車が回り出す。そう、これまでの彼らのサッカー人生と同じように刺激を与え合いながら。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)