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【スペシャル対談~前編】ワイン事業をスタートしたV・ファーレン長崎の都倉賢に、 元Jリーガー社長・嵜本晋輔が期待する現役アスリートへの影響力

カテゴリ:特集

吉田治良

2021年09月09日

自分が育った競技にビジネスで還元する仕組み

バリュエンスでは現在、Jリーグのガンバ大阪、早稲田大学ア式蹴球部、そして南葛SCのパートナーとして、チームや所属選手の応援・サポートを行なっている。ア式蹴球部とのパートナーシップ締結の際に嵜本社長は、「私はプロサッカー選手として、Jリーグ『ガンバ大阪』に3年間所属していたこともあり、かねてより、お世話になったスポーツ界への恩返しをしたいと考えていました。ア式蹴球部をはじめ、早稲田大学とその学生の皆さんのさらなる成長・発展へ寄与できれば幸いです」とコメントを寄せているが、今回の対談の中でも、「自分の育った競技に対して、ビジネスという形で還元していく仕組みをきちんと作り上げていきたい」と、再度強調していたのが印象的だ。写真:田中研治

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──バリュエンスでは、昨年からアスリートのためのデュアルキャリア採用プロジェクトとして、『アスリート100人採用』というものを大きく打ち出されていますよね。アスリート社員を受け入れることで、逆に企業側が刺激を受けたり、なんらかのメリットが生まれたりすることはあるのでしょうか。

嵜本:現在、すでに13名のアスリートに入社していただいています。これはアスリートの方に競技とキャリアを両立して働いていただく制度なんですが、その一方で既存の社員に、「自分の好きなことを追いかけるきっかけ」を与える狙いもあります。企業で働く多くの人にとって、仕事というのは給料を得るためのツールであって、本当に自分のやりたいことではないケースが少なくありません。そんな中に、やりたいことが明確なアスリートという人材が交わることで、なんらかの気付きやヒントを得られるのではないかと。

都倉:どんな競技の方がいらっしゃるんですか?

嵜本:サッカーが8名で、K―1が2名、あとは陸上、野球、バスケですね。競技数で言うと、20競技以上の方とは面談させていただきました。まだ広く一般には知られていない取り組みですが、口コミなどで知っていただいた方からの問い合わせが少なくありません。なかにはお金だけ支援してくれると思って来られる方もいますが、それではあまり意味がなくて、僕は競技も100㌫、仕事も100㌫で、競技をしながら社会人としてもいろんなことを吸収できるのが、まさにデュアルキャリアだと考えています。

都倉:実際にどういった仕事をされているんですか?

嵜本:現在提供させていただいているのは、ブランドリユース関連の仕事が多く、実際に店舗でコンシェルジュ(鑑定士)としてブランド品を一般のお客様から買取る業務に就いている方が多いです。また、デュアルキャリア採用ではありませんが、実は元川崎フロンターレの井川祐輔くんも弊社の社員で、今はスポーツ関連オークション事業の『HATTRICK』というサービスに関わってもらっています。彼のおかげで、フロンターレとも取引ができるようになりましたが、将来的にはこうして自分の育った競技に対して、ビジネスという形で還元していく仕組みをきちんと作り上げていきたいですね。サッカーに育てられた人間が、これまでサッカー界になかったような、新たなマネタイズの仕組みを考える。それがBリーグであったり、陸上競技であったりしてもいいわけです。

都倉:それってすごいですよね。井川さんの元サッカー選手だったという価値が、しっかりとセカンドキャリアでも活かされているという、ひとつの成功例ですね。

嵜本:まだPowerPointも習得中なんですけどね(笑)。

都倉:ハハハ。これは北京五輪の男子4×100㍍リレーで銀メダルを獲得した陸上の朝原宜治さんに伺った話なんですが、朝原さんが陸上部のコーチを務める大阪ガスでは、実業団スポーツ出身の方が、役員になられるケースが多いそうなんです。思わず「スポーツばかりやっていた人がそんなに出世できるんですか?」って聞いてしまったんですが(笑)、やはりアスリートというのは、瞬間瞬間の決断力や諦めない気持ち、そして大舞台にも動じないメンタルといったものが、競技者生活の中で自然と培われていて、大阪ガスはそういった人間性を重視する会社らしいんです。僕はその話を聞いて、すごく自信がついた。それで、嵜本さんがスポーツ選手の採用を始めるというリリースを目にした時も、これはアスリートにとってめちゃくちゃ追い風になるなって、本当に嬉しくなったんです。

■対談者プロフィール■

嵜本晋輔 Shinsuke SAKIMOTO
1982年4月14日、大阪府出身。関西大学第一高校卒業後、G大阪に入団。3年で戦力外通告を受けると、JFLの佐川急便大阪SCを経て、2004年に引退。その後は父が経営していたリサイクルショップで経営のノウハウを学び、11年に株式会社SOU(現バリュエンスホールディングス株式会社)を設立。代表取締役に就任する。18年3月に東証マザーズへ株式上場。現在はサポートや寄付等を目的としたアスリート公認オークション『HATTRICK』や、アスリートたちのデュアルキャリアを支える取り組みに力を入れている。また今年8月には、パートナー契約を結んでいた南葛SCの株式を取得(出資比率33・5㌫)し、自ら取締役に就任した。

都倉賢 Ken TOKURA
1986年6月16日、東京都出身。横浜Jrユースから川崎Uー18を経て、2005年に川崎のトップチームに昇格。その後、08年途中に草津、10年に神戸へ移籍。13年シーズン終了後、神戸を退団してデンマークのFCベストシェランでトライアウトに参加するが、契約に至らず、14年3月に札幌へ移籍する。長身を生かしたダイナミックなプレーで、札幌では5シーズンの在籍期間中4シーズンでチーム得点王に。19年から在籍したC大阪でも前線の貴重な戦力となるが、同年5月、右膝に全治8か月の重傷を負い長期離脱。厳しいリハビリを乗り越えて復活を遂げると、今季からはJ2の長崎でプレーする。ツイッターなどSNSの総フォロワー数は約11万人。昨年からは北海道でワイン事業『都倉ワイナリー』(https://tokurawinery.official.ec/)を立ち上げるなど、サッカー以外でも様々なチャレンジをしている。

※後編に続く。次回は9月10日(金)に公開します。

取材・文●吉田治良
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