サッカー界の当たり前が他の業界では通じない

Jリーガーからビジネス界に転身後、起業からわずか7年で東証マザーズ上場を果たした嵜本社長。現役Jリーガーに対しては「できるだけ早いうちにサッカー以外の選択肢を持つべき」と力説する。(C)Valuence Holdings Inc.
──現役のアスリートが新たなチャレンジをするうえで、年齢的なことは関係ありませんか?
嵜本:Jリーグで言えば、もちろん入団直後のルーキーが、新たなビジネスを立ち上げるのは現実的ではないかもしれません。とはいえ、Jリーガーの平均引退年齢は25~26歳で、大卒でプロになった場合、極端な話、選手寿命は3年ほどしかないわけです。そういう人が一般的であるのなら、その3年をどう捉えるか。個人的には、アンテナを立てて、世の中で何が起こっているのかを知り、サッカー選手以外の選択肢をもうひとつくらい持つことは、早ければ早いほうがいいと思っています。Jリーガーのセカンドキャリアはネガティブに報じられがちですが、そういう流れになれば、むしろ引退後のキャリアのほうが輝けるといったストーリーが、より多く世間に発信されるはずですから。
都倉:僕自身について言えば、若い頃は精神的にも未熟で、そういった発想には至らなかったんだと思います。それに、人それぞれステップがあるし、プロ入りしたばかりのギラギラした子に、引退後を思い描きながらプレーしろと言ったところで伝わりませんからね。僕の場合は、2年前に大怪我(右膝前十字靭帯損傷および右膝外側半月板損傷で全治8か月)をしてから、「毎試合がラストゲーム」という気持ちでサッカーに取り組めていますが、19歳の子が同じようにできるとは思えない。ただ、嵜本さんの言うように、なるべく若いうちからアンテナだけでも張っておくべきでしょうね。
──都倉選手自身、様々な異業種の方と出会い、そこから多くの刺激をもらったそうですね。
都倉:最初に刺激をもらったのは、別の競技のアスリートからなんです。オフに合同トレーニングに参加させていただき、そこで陸上や野球の選手から話を聞いたんですが、サッカー界の当たり前が、他の競技ではまったく通じなかったり、逆に向こうが普通にやっていることがとても新鮮だったり、まさに目からウロコでしたね。当たり前の中にこんな価値があるんだって気付かされた経験は、かなり大きかったです。
いろんな経営者の方とお会いしてもそうです。サッカー界の常識にびっくりされたことは、一度や二度ではありません。どちらが上とか下ではなく、畑が違えば価値の捉え方ってまったく違うんだなって、それはすごく感じましたね。
嵜本:僕もとにかく異業種の方と会うようにしています。異業種の考え方の中から、何か「×リユース」にできるヒントはないかと、常にアンテナは立てていますね。リユース業界の中だけにいると井の中の蛙になってしまって、自分と企業の可能性を広げるきっかけを得にくいんです。アスリートは、そもそも他者にはない肩書を持っているわけで、異業種のほうから興味を持ってもらえる状況にある。だったらその状況を利用して、いろんな業界の人間の様々な意見に、積極的に触れてみてもいいと思うんですけどね。
嵜本:Jリーグで言えば、もちろん入団直後のルーキーが、新たなビジネスを立ち上げるのは現実的ではないかもしれません。とはいえ、Jリーガーの平均引退年齢は25~26歳で、大卒でプロになった場合、極端な話、選手寿命は3年ほどしかないわけです。そういう人が一般的であるのなら、その3年をどう捉えるか。個人的には、アンテナを立てて、世の中で何が起こっているのかを知り、サッカー選手以外の選択肢をもうひとつくらい持つことは、早ければ早いほうがいいと思っています。Jリーガーのセカンドキャリアはネガティブに報じられがちですが、そういう流れになれば、むしろ引退後のキャリアのほうが輝けるといったストーリーが、より多く世間に発信されるはずですから。
都倉:僕自身について言えば、若い頃は精神的にも未熟で、そういった発想には至らなかったんだと思います。それに、人それぞれステップがあるし、プロ入りしたばかりのギラギラした子に、引退後を思い描きながらプレーしろと言ったところで伝わりませんからね。僕の場合は、2年前に大怪我(右膝前十字靭帯損傷および右膝外側半月板損傷で全治8か月)をしてから、「毎試合がラストゲーム」という気持ちでサッカーに取り組めていますが、19歳の子が同じようにできるとは思えない。ただ、嵜本さんの言うように、なるべく若いうちからアンテナだけでも張っておくべきでしょうね。
──都倉選手自身、様々な異業種の方と出会い、そこから多くの刺激をもらったそうですね。
都倉:最初に刺激をもらったのは、別の競技のアスリートからなんです。オフに合同トレーニングに参加させていただき、そこで陸上や野球の選手から話を聞いたんですが、サッカー界の当たり前が、他の競技ではまったく通じなかったり、逆に向こうが普通にやっていることがとても新鮮だったり、まさに目からウロコでしたね。当たり前の中にこんな価値があるんだって気付かされた経験は、かなり大きかったです。
いろんな経営者の方とお会いしてもそうです。サッカー界の常識にびっくりされたことは、一度や二度ではありません。どちらが上とか下ではなく、畑が違えば価値の捉え方ってまったく違うんだなって、それはすごく感じましたね。
嵜本:僕もとにかく異業種の方と会うようにしています。異業種の考え方の中から、何か「×リユース」にできるヒントはないかと、常にアンテナは立てていますね。リユース業界の中だけにいると井の中の蛙になってしまって、自分と企業の可能性を広げるきっかけを得にくいんです。アスリートは、そもそも他者にはない肩書を持っているわけで、異業種のほうから興味を持ってもらえる状況にある。だったらその状況を利用して、いろんな業界の人間の様々な意見に、積極的に触れてみてもいいと思うんですけどね。