カンビアッソが象徴的に示すものとは――。

攻守の要としてレスターを残留に導いたカンビアッソ。一時代を築いたベテランがこの昇格組でプレーした事実は、プレミアの人材的な豪華さを一面で象徴しているだろう。 (C) Getty Images
田邊:他で気になった存在は?
山中:監督のアクが強いので、好きな人と嫌いな人は分かれますが、そのウェストブロムのひとつ下の14位でフィニッシュしたレスターあたりかな。カンビアッソはさすがでしたね。
田邊:最初はカンビアッソが加入したこと自体、びっくりでした。あんな有名な選手が、レスターに来るんだと。
山中:当初はカンビアッソ本人も、プレミアの上位勢と対戦した試合で、「なんで俺はこっちのチームでやってんだ?」と思ってたりして(笑)。インテル時代、まさにモウリーニョの下でプレーした選手ですから。
田邊:でも意外に早く水に馴染んだし、チーム全体もナイジェル・ピアソンの下で、残留を目指すというよりは、結構、正攻法のサッカーをして。
山中:それがシーズンの3分の2くらいは裏目っていましたけど、最後に帳尻が合った(笑)。昨シーズン、2部であれだけの成績を残していたことを考えれば不思議じゃないんですけどね。そこにカンビアッソのような柱が加わったと。
田邊:ああいうところにカンビアッソがいたりすると、プレミアが人材的にも豪華になった感じがしていいですね。
昔はそれこそ世界中からスターを買い集めていましたけど、最近は名前の通ったベテラン選手は、ドイツに行くみたいな傾向もあったじゃないですか?
山中:そう。それと2010年の夏頃は、プレミア全体を見た場合の新加入の目玉選手が、アサモア・ギャン(当時サンダーランドに加入)なんて時代もありましたから。しかも、あっさり「ここには居たくない」と逃げられて(苦笑)。
田邊:たしかにあの頃は、プレミアが選手をかき集める側というよりも、他のリーグに抜かれる側になっていくのかなという不安が一瞬よぎった。
ロナウドがレアル・マドリーに移籍した件も、まだ、なんとなく全体に暗い影響を与えていましたし。
山中:レスターあたりは、阿部勇樹がかつて所属していたチームでもあるし、日本人選手を呼んでくれたりするといいんですけどね。
田邊:昨シーズンは、岡崎慎司に興味を持っているという噂があった。あとは日本人絡みで、定期的に名前が出るのがアストン・ビラ。
山中:ビラを応援している某メディアの記者は、いまだに「キヨタケ、キヨタケ」と言って獲得失敗を悔やんでいる(笑)。
武藤もマインツに決まってしまって……。同じ日本人としてはチェルシーに来てもらってもよかったのに。当人のキャリアメイク的には正しい選択だと思いますけどね。
田邊:まあ、良いニュースを気長に待ちましょうよ。シーズンオフになったことでもあるし、これからしばらくの間は、わざとタブロイドの移籍報道に踊らされてみたりするのも悪くないでしょ(笑)。
構成・文:田邊雅之
協力:山中忍
【識者プロフィール】
田邊雅之
1965年、新潟県生まれ。『Number』をはじめとして、学生時代から携わっていた様々な雑誌や書籍の分野でフリーランスとして活動を始める。2000年からNumber編集部に所属。プレミアリーグ担当として数々の記事を手がけた後、南アフリカW杯を最後に再びフリーランスとして独立。主な著書に『ファーガソンの薫陶』(幻冬舎)、翻訳書に『知られざるペップ・グアルディオラ』(朝日新聞出版)」等がある。最新の翻訳書は『ルイ・ファンハール 鋼鉄のチューリップ』(カンゼン)。贔屓はウェストハム。
山中忍
1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、チェルシーのサポーター。
山中:監督のアクが強いので、好きな人と嫌いな人は分かれますが、そのウェストブロムのひとつ下の14位でフィニッシュしたレスターあたりかな。カンビアッソはさすがでしたね。
田邊:最初はカンビアッソが加入したこと自体、びっくりでした。あんな有名な選手が、レスターに来るんだと。
山中:当初はカンビアッソ本人も、プレミアの上位勢と対戦した試合で、「なんで俺はこっちのチームでやってんだ?」と思ってたりして(笑)。インテル時代、まさにモウリーニョの下でプレーした選手ですから。
田邊:でも意外に早く水に馴染んだし、チーム全体もナイジェル・ピアソンの下で、残留を目指すというよりは、結構、正攻法のサッカーをして。
山中:それがシーズンの3分の2くらいは裏目っていましたけど、最後に帳尻が合った(笑)。昨シーズン、2部であれだけの成績を残していたことを考えれば不思議じゃないんですけどね。そこにカンビアッソのような柱が加わったと。
田邊:ああいうところにカンビアッソがいたりすると、プレミアが人材的にも豪華になった感じがしていいですね。
昔はそれこそ世界中からスターを買い集めていましたけど、最近は名前の通ったベテラン選手は、ドイツに行くみたいな傾向もあったじゃないですか?
山中:そう。それと2010年の夏頃は、プレミア全体を見た場合の新加入の目玉選手が、アサモア・ギャン(当時サンダーランドに加入)なんて時代もありましたから。しかも、あっさり「ここには居たくない」と逃げられて(苦笑)。
田邊:たしかにあの頃は、プレミアが選手をかき集める側というよりも、他のリーグに抜かれる側になっていくのかなという不安が一瞬よぎった。
ロナウドがレアル・マドリーに移籍した件も、まだ、なんとなく全体に暗い影響を与えていましたし。
山中:レスターあたりは、阿部勇樹がかつて所属していたチームでもあるし、日本人選手を呼んでくれたりするといいんですけどね。
田邊:昨シーズンは、岡崎慎司に興味を持っているという噂があった。あとは日本人絡みで、定期的に名前が出るのがアストン・ビラ。
山中:ビラを応援している某メディアの記者は、いまだに「キヨタケ、キヨタケ」と言って獲得失敗を悔やんでいる(笑)。
武藤もマインツに決まってしまって……。同じ日本人としてはチェルシーに来てもらってもよかったのに。当人のキャリアメイク的には正しい選択だと思いますけどね。
田邊:まあ、良いニュースを気長に待ちましょうよ。シーズンオフになったことでもあるし、これからしばらくの間は、わざとタブロイドの移籍報道に踊らされてみたりするのも悪くないでしょ(笑)。
構成・文:田邊雅之
協力:山中忍
【識者プロフィール】
田邊雅之
1965年、新潟県生まれ。『Number』をはじめとして、学生時代から携わっていた様々な雑誌や書籍の分野でフリーランスとして活動を始める。2000年からNumber編集部に所属。プレミアリーグ担当として数々の記事を手がけた後、南アフリカW杯を最後に再びフリーランスとして独立。主な著書に『ファーガソンの薫陶』(幻冬舎)、翻訳書に『知られざるペップ・グアルディオラ』(朝日新聞出版)」等がある。最新の翻訳書は『ルイ・ファンハール 鋼鉄のチューリップ』(カンゼン)。贔屓はウェストハム。
山中忍
1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、チェルシーのサポーター。