プレッシャーがのしかかる自国開催の五輪でも彼なら
素朴に、淡々と──。
「トップチームでついたあだ名が“おじいちゃん”。言い得て妙ですよね(笑)」
そう言って藤崎は笑う。
21年3月25日の韓国戦で相手から故意にも映る肘打ちをされても、冨安は平然としている。「あれは酷い」とファン・サポーターがネット上でブーイングするなか、“素朴なおじいちゃん”は彼らを「よしよし」となだめるかのように優しいメッセージを送る。
「相手選手からの肘打ちの件ですが試合中には起こり得ることで、彼が故意的にやった事ではないと信じています。もうすでに謝罪のメッセージも受け取っていますし、大きな問題にならない事を願っています!」(冨安のインスタグラムより)
それを見た藤崎の感想はと言えば、「あー、そうそう。タケっぽい」だった。
無駄に争わず、利口に振る舞える点からも実に「頭脳的」だ。
「坪井さんが頭脳的とおっしゃってくれたように、タケはピッチの中でも常に考えています。どうしたら点が取れるか、どうしたらボールを奪えるか、それを繰り返し、繰り返しやっています。で、実践できなければ何が足りないかを今度は考える。ボローニャに移籍が決まった時もタケは『守備の国』に行きたいと言っていましたからね。そこで学ぶべき何かを見つけているんです」(藤崎)
優等生で努力家なうえに、自分を見失うこともない。22歳にして世界のトップリーグでワールドクラスのアタッカーとしのぎを削る冨安に対し、藤崎は「勝手に期待が膨らんでいる」。
「アジアの壁と言われた井原(正巳)さんとも、代表戦で一緒にプレーしている吉田(麻也)選手とも違うセンターバック像を作ってもらいたい。攻撃力はありますし、なんなら自陣でインターセプトしたボールをそのままドリブルで持ち込んで点を取ってしまう。『キャプテン翼』の世界を彷彿させるようなプレーを是非期待したい。目指すべきは規格外のセンターバックでしょう」
プレッシャーがのしかかる自国開催の五輪でも、冨安なら淡々と、そして堂々とプレーするだろう。彼のここまでのキャリアを振り返れば、自然とそういう結論に行き着く。
普通の家庭に育ち、「エピソードらしいエピソードがない」(藤崎)まま成長できたのは、ある意味幸せなこと。素朴ゆえの吸収力の高さが、冨安を「恐ろしい選手」(坪井)に飛躍させたファクターのひとつであることはまず間違いない。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)
※サッカーダイジェスト2021年7月22日号から転載。
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「トップチームでついたあだ名が“おじいちゃん”。言い得て妙ですよね(笑)」
そう言って藤崎は笑う。
21年3月25日の韓国戦で相手から故意にも映る肘打ちをされても、冨安は平然としている。「あれは酷い」とファン・サポーターがネット上でブーイングするなか、“素朴なおじいちゃん”は彼らを「よしよし」となだめるかのように優しいメッセージを送る。
「相手選手からの肘打ちの件ですが試合中には起こり得ることで、彼が故意的にやった事ではないと信じています。もうすでに謝罪のメッセージも受け取っていますし、大きな問題にならない事を願っています!」(冨安のインスタグラムより)
それを見た藤崎の感想はと言えば、「あー、そうそう。タケっぽい」だった。
無駄に争わず、利口に振る舞える点からも実に「頭脳的」だ。
「坪井さんが頭脳的とおっしゃってくれたように、タケはピッチの中でも常に考えています。どうしたら点が取れるか、どうしたらボールを奪えるか、それを繰り返し、繰り返しやっています。で、実践できなければ何が足りないかを今度は考える。ボローニャに移籍が決まった時もタケは『守備の国』に行きたいと言っていましたからね。そこで学ぶべき何かを見つけているんです」(藤崎)
優等生で努力家なうえに、自分を見失うこともない。22歳にして世界のトップリーグでワールドクラスのアタッカーとしのぎを削る冨安に対し、藤崎は「勝手に期待が膨らんでいる」。
「アジアの壁と言われた井原(正巳)さんとも、代表戦で一緒にプレーしている吉田(麻也)選手とも違うセンターバック像を作ってもらいたい。攻撃力はありますし、なんなら自陣でインターセプトしたボールをそのままドリブルで持ち込んで点を取ってしまう。『キャプテン翼』の世界を彷彿させるようなプレーを是非期待したい。目指すべきは規格外のセンターバックでしょう」
プレッシャーがのしかかる自国開催の五輪でも、冨安なら淡々と、そして堂々とプレーするだろう。彼のここまでのキャリアを振り返れば、自然とそういう結論に行き着く。
普通の家庭に育ち、「エピソードらしいエピソードがない」(藤崎)まま成長できたのは、ある意味幸せなこと。素朴ゆえの吸収力の高さが、冨安を「恐ろしい選手」(坪井)に飛躍させたファクターのひとつであることはまず間違いない。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)
※サッカーダイジェスト2021年7月22日号から転載。
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