「タケが自分自身の能力と冷静に向き合えるのは…」
15年5月19日、福岡U-18在籍時に高校2年生で2種登録された冨安は、同年10月14日の天皇杯・町田ゼルビア戦で公式戦デビュー。同年12月8日に福岡とプロ契約すると、16年7月13日のFC東京戦でJ1デビューを果たした。そこからボランチの定位置を掴み取り、翌17年シーズンはJ2リーグを戦うチームで守備の要──CBとして不可欠な存在となった。
「いつかはセンターバックに下がる。そこに落ち着けばA代表に入るだろうというのは想像できました」
藤崎の予想どおり、18年1月8日にベルギーのシント=トロイデンと3年半の契約を交わした冨安は、同年5月のアントワープ戦で移籍後初出場したあと、同年8月にA代表に初選出された。18-19シーズンは19年のアジアカップに参戦するまで、ベルギー・リーグで全試合に出場。シント=トロイデンのマーク・ブライス監督をして「国内で唯一無二」と言わしめた。そして19年7月9日にはイタリアのボローニャに加入。確かなステップアップを果たすと、セリエAという世界屈指のリーグでも奮闘する。さすがの藤崎も海外を舞台にここまで活躍するとは想像すらしていなかった。
「ベルギー、イタリアで成長し、ここまでの選手になるとは思っていませんでした。なんなんですかね、彼は(笑)」
たくさんのアカデミー生を指導してきた藤崎にとって、冨安は異質な存在だ。
「うちのアカデミーから40人くらいプロになっていますが、その経験からすると感情が豊かでアピールする子がJリーガーになるというのは想像つきます。でも、タケは違います。感情の起伏がなく、決して偉ぶらず、常に淡々。『こんな子がいるんだな、プロアスリートの世界に』という感じで、それはちょっとした驚きです」
「いつかはセンターバックに下がる。そこに落ち着けばA代表に入るだろうというのは想像できました」
藤崎の予想どおり、18年1月8日にベルギーのシント=トロイデンと3年半の契約を交わした冨安は、同年5月のアントワープ戦で移籍後初出場したあと、同年8月にA代表に初選出された。18-19シーズンは19年のアジアカップに参戦するまで、ベルギー・リーグで全試合に出場。シント=トロイデンのマーク・ブライス監督をして「国内で唯一無二」と言わしめた。そして19年7月9日にはイタリアのボローニャに加入。確かなステップアップを果たすと、セリエAという世界屈指のリーグでも奮闘する。さすがの藤崎も海外を舞台にここまで活躍するとは想像すらしていなかった。
「ベルギー、イタリアで成長し、ここまでの選手になるとは思っていませんでした。なんなんですかね、彼は(笑)」
たくさんのアカデミー生を指導してきた藤崎にとって、冨安は異質な存在だ。
「うちのアカデミーから40人くらいプロになっていますが、その経験からすると感情が豊かでアピールする子がJリーガーになるというのは想像つきます。でも、タケは違います。感情の起伏がなく、決して偉ぶらず、常に淡々。『こんな子がいるんだな、プロアスリートの世界に』という感じで、それはちょっとした驚きです」
冨安の最大の長所、それは“自分を客観視できること”かもしれない。先ごろ、彼が帰国した際、藤崎はこんなことを言われている。
「本人は『(能力的に)ちょっと足りない部分を認識できる環境に身を置きたい』と。そう思えるのは、自分を客観視できているからでしょう。もうひとつ上のステージに行くためには何が必要か、そういうものを自主的に探せるのは簡単なようで難しい。もちろん、僕たちも指導しますが、だからといって皆がみんな自分を客観視できるわけではありません。タケがああやって自身の能力と冷静に向き合えるのは、お父さんやお母さん、ご兄弟の影響もあるのではないでしょうか」
行き着く先は家庭環境ということだろうか。藤崎は言葉を継ぐ。
「お父さんもお母さんも素朴な方で、アカデミー時代に面談した時も『いやいや、うちの子なんて……』と遠慮気味で。当時は自分の息子がどれだけ凄いか分かっていなかったんじゃないですかね(笑)。それくらい素朴なご両親です」
この親にしてこの子あり。冨安はサッカーのピッチに限らず、どこにいても素朴だった。
「アカデミーの責任者として学校訪問にも行きました。僕たちが『彼はU-15日本代表ですよ』と伝えて初めて担任が知るみたいな。学校でそういうことを自慢する子ではなく、至って素朴でどこにでもいる生徒。正直、エピソードらしいエピソードがないのがタケです」
「本人は『(能力的に)ちょっと足りない部分を認識できる環境に身を置きたい』と。そう思えるのは、自分を客観視できているからでしょう。もうひとつ上のステージに行くためには何が必要か、そういうものを自主的に探せるのは簡単なようで難しい。もちろん、僕たちも指導しますが、だからといって皆がみんな自分を客観視できるわけではありません。タケがああやって自身の能力と冷静に向き合えるのは、お父さんやお母さん、ご兄弟の影響もあるのではないでしょうか」
行き着く先は家庭環境ということだろうか。藤崎は言葉を継ぐ。
「お父さんもお母さんも素朴な方で、アカデミー時代に面談した時も『いやいや、うちの子なんて……』と遠慮気味で。当時は自分の息子がどれだけ凄いか分かっていなかったんじゃないですかね(笑)。それくらい素朴なご両親です」
この親にしてこの子あり。冨安はサッカーのピッチに限らず、どこにいても素朴だった。
「アカデミーの責任者として学校訪問にも行きました。僕たちが『彼はU-15日本代表ですよ』と伝えて初めて担任が知るみたいな。学校でそういうことを自慢する子ではなく、至って素朴でどこにでもいる生徒。正直、エピソードらしいエピソードがないのがタケです」